第一章 第弐話

湧いたお湯の湯気のにおい。 ビリッとインスタント·ラーメンの袋を破り中身をわきたてホヤホヤの湯に落っことす。 大胆な音を立て、少しお湯が溢れプラスチックの机を濡らした。 スマホのタイマーをセットしてから荷詰めを始めた。

タイマーがなる頃には荷造りは完了した。荷造りと言っても水道水で満たされたペットボトルと軽い財布を入れるだけ。ラーメンをすすりながら私はふと気がつく。

ここは東京の線路直下のアパートのはずなのに今日は本当に全く列車の音がしない。考えてみれば、いつもは通勤ラッシュの電車の振動に起こされているのに、今日は違った。

いつもと違う日常が今日は待っているのかもしれない。

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