「じょそう」について

助走〘名〙 幅跳・高跳また投擲などで、勢いをつけるため踏切り板の所まで走ること。また、はずみをつけるために走ること。


1年のなかで最初に「じょそう」を耳にするのは、4月。体力テストでハンドボール投げをするときだと思う。僕は手が小さくてハンドボールを片手でしっかり握れないから全然記録が伸びない。女子は中高になってもソフトボール投げらしい。僕より手が大きい女の子はいくらでもいるのに。

ハンドボール投げのとき、石灰で引かれた白線の境目が曖昧になっているとこを踏んだ生徒に、助走の範囲を超えたといってファウルと記録する厳密すぎる同級生はちょっとどうなの、って思っちゃう。

でも、50m走の測定で、フライングしたのを見逃すのはなんか違う気がする。

矛盾してる?


除草〘名〙 雑草を取り除くこと。


僕の通っている学校は、敷地のうち土に覆われている面積が広くて、各所に雑草が生い茂っている。それを取り除くために毎年一度、校内除草というイベントがある。各学年が担当場所を割り振られて草を抜くだけの日。恐らく生徒から一番嫌われている行事。僕は案外、スポッと雑草が抜けるあの感覚が好きなんだけどな。


女装〘名〙 男が女のよそおいをすること。


それから僕の通う学校では、文化祭で女装イベントがある。男子校だから女装だけで盛り上がる。だけど女装はただ女性ものの服を着てメイクをすれば無条件に盛り上がる訳でもない。盛り上がる女装には2つの種類があると思う。

ひとつ目は、ネタ女装。体育会系のゴツイ感じの子がぴっちぴちのセーラー服着てるとか。まぁ大体もとが面白いやつが女装すると女装しても面白いっていう類。

もうひとつは、ガチ女装。パッと見で女装ってわからないレベルで可愛くなっちゃうやつ。中3くらいの男の子はまだ線が細くて肌も透きとおるように綺麗な子がいる。そういう子を本気で仕上げると、普段わちゃわちゃ接してる同級生もたじろぐ、ぎゃんかわな子が爆誕する。

こんなことを言ったけど、僕はどんな男の子もちゃんとウィッグを被って、メイクをして、所作や言葉遣いを気にして、という本気の女装をすれば、その出来がどうであったとしても尊いと思う。

女の子になりたいという気持ちをもった時点で尊いし、そして恥を捨て実践したことに価値があると思う。


男の子のみんなは女装をしたくなったら、

100均とかでいいから最低限のBBクリームとチークとリップとアイシャドー、それからビューラーとマスカラを用意して、

YouTubeとかで真似してみてメイクしてみて、

でドンキかアマゾンでウィッグを買って被ってみよう。


女装ができるのは男の身体で生まれた者の特権だよ。

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