第20話 寝言

 クレア(モンスターハンター)はまだ寝ている。

 いい加減にしろ。私はいつまでお前の抱き枕にならないといけないんだ?

 私がそんなことを考えているとクレアが寝言を言った。


「クーちゃん……キメラ」


「……え?」


 き、聞き間違いかな? うん、そうだ。そうに違いない。


「クーちゃん、あれがキメラだよー」


 な、なるほど。私ではなく別のキメラを私に見せているのか。


「クーちゃん、キメラの肉だよー。一緒に食べようよー」


 普通に食べたくない。というか、あんまりおいしくないと思うぞ。いろんなモンスターと合体してるから。


「クーちゃん、キメラの骨で作った指輪だよー」


 それがどうした。というか、その技術があるなら店を作れ。普通に売れるぞ。


「クーちゃん、結婚しよー」


 なぜそうなる。私は一応、女だぞ? お前はあれか? 女が好きなのか? 女なのに女が好きなのか? 好みは人それぞれだと思うが、とりあえず私を対象とするな。気持ち悪い。


「クーちゃん、抱き枕になってー」


 もうなってるんだが?

 ええい! もういい! 今すぐこの場から離脱する。


「……お母さん……ミーシャ……どうして私を一人にしたの? お父さん、どうして二人を殺したの? 私はこれからどうすればいいの?」


 な、なんだよ……それ。

 お前、なんで今そんなことを……。


「お父さん、もうやめて。私を化け物にしないで」


 化け物? お前、いったい何をされたんだ?

 私と同じ、なのか?


いや……来ないで。お願いだから……」


 私は彼女の方に体を向けると彼女をギュッと抱きしめた。

 それと同時に優しく頭を撫で始めた。


「……クーちゃん、助けに来てくれたんだね。ありがとう」


 どこまでが本当でどこまでが嘘なのかは分からなかったが、クレアの目からスーッと涙が流れていくのを私は確かにこの目で見た。

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