第9話 モンスターハンター

 み、見つからない……。

 なぜだ? もう二時間くらい探しているのに見つかる気配すらない。

 空からだと動いていないものを見つけるのは困難なのだろうか。

 そう思った私は一度地上に降りた。

 トルネードファルコンからフレアキャットに変身すると私は周囲を見渡した。

 モンスターの気配はある。

 だが、人の気配はない。

 魔法使いはいったいどこにいるんだ?

 私は時折聞こえてくる奇声を聞きながら前進し始めた。

 彼女と出会ったのはそれからしばらく経った頃だった。


「今日はあんまりモンスターと出会わないなー。どうしてかなー? もしかして私より強いモンスターはもういないのかなー?」


 ん? あそこにいるのは……フレアキャットかな?

 おかしいなー。常に燃えている島にしかいないはずなのに……。

 まあ、いっか。今日の昼ごはんにしよう。

 私は静かに短剣を抜くとできるだけ音を立てないように獲物に近づいた。

 殺気と気配を消すのは当然。

 あとは自然の一部になれば、なお良し。

 それにしてもどこに向かってるんだろう。

 まるで何かを探しているような……。

 まあ、いいか。悪いけど、私の一部になってもらうよ!

 私がフレアキャットの背中に短剣を刺そうとした時、フレアキャットのシッポが蛇型モンスターになり私の短剣を口で受け止めた。


「……っ!?」


 私は蛇型モンスターのあごに蹴りを入れて短剣を吐かせると後退した。

 な、何? 今の。まさかフレアキャットごときに私の攻撃が読まれていたの?

 そ、そんなはずない。だって私はこの森にいるほとんどのモンスターと戦って勝利したほどの腕前を持つモンスターハンターなのだから。


「ニャー」


 なんだ? こいつ。人か?

 魔法使いではないな。

 まあ、いい。少し遊んでやろう。

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