第5話 好きだ
女の子って、着せ替え人形が好きだったりするけど……
「ジロー、次はこれ着て」
「う、うん」
僕はいま正に、その着せ替え人形のような状態だった。
「これも可愛い~♪ あ、これも~♪」
普通の男なら、女子にこんな風に好き勝手されたら、嫌がるものかもしれないけど。
僕はいま、そんなに悪い気持ちじゃなかった。
むしろ、嬉しかった。
僕みたいに冴えない男に優しくしてくれるのは、須山さんくらいなものだ。
「きーめた。これにしようっと」
須山さんはその服を持ってレジに向かう。
「あ、お金を……」
「ジローは出さなくて良いよ。これは、あたしからのプレゼント」
「いや、そんな悪いよ」
「大丈夫。後でたっぷり、お返しをしてもらうから」
須山さんは白くきれいな歯を見せて笑う。
「ありがとうございました~」
僕たちは店を出た。
「須山さん、ありがとう」
「どういたしまして。その代わり、ちゃんと素敵な男子になるんだぞ?」
「う、うん。がんばる」
「ふふ。ねえ、ジロー、これから……」
「――あれ、アリサじゃん」
ふいに、声がした。
顔を向けた先には、僕がいま会いたくない2人がいた。
「あっ……次郎くん……」
「し、栞ちゃん……」
栞ちゃんは、梶野くんと2人で一緒にいた。
「おいおい、アリサ。お前、オレに捨てられたからって、ヤケになってそんな冴えない野郎と付き合ってんのか?」
「はぁ?」
須山さんが眉根を寄せる。
「あの、梶野くん……」
「ああ、栞。こいつ、オレの元カノの
「誰がガバ◯ンですって? あんたのが粗◯ンなんでしょうが。だいたい、あたしはあの時は処……」
「うるせーよ、クソビッチ。まあ、オレはもう学年イチの美少女を手に入れたからさ~」
そう言って、梶野くんは栞ちゃんの肩を抱き寄せた。
自然と胸を揉む。
「んっ……」
「今日もこの後、ヤリまくりのハメまくりだよ」
「……サイテー」
「じゃあな、負け犬ども」
彼は最後に、僕の方を見て、ニヤリとする。
一方、栞ちゃんは複雑な面持ちで僕を見つめた後、
「おい、行くぞ」
「あ、うん……」
半ば強引に、彼に連れて行かれた。
「……何なのよ、あいつ」
須山さんは手を握り締め、わずかに涙を浮かべていた。
「もう、あいつのことなんてどうでも良いのに……あんな奴に心を乱されて、あたしってば情けない……」
僕はそんな彼女を見て、
「……須山さんは、ビッチなんかじゃないよ」
「……ジロー?」
「だって、僕だけのことをこんなに一生懸命に見てくれるし……好きだ」
つい、言葉が溢れてしまう。
「もし、僕なんかが君の心の傷を癒せるなら……正式にお付き合いして下さい」
そう言うと、彼女の瞳からポロポロと涙がこぼれた。
そして、僕を抱き締めてくれる。
「バカ……自分だって、すごく傷付いているくせに……」
顔を上げた彼女は泣いたまま。
けど、同時に笑っていた。
「……大好き、ジロー」
◇
今日、彼女の両親は出かけて夜遅くまで帰って来ないらしい。
「んっ、ちゅっ、はっ……♡」
彼女の家に着いて、彼女の部屋に入るなり、カバンを落とす。
激しくキスを求められた。
もう、童貞じゃない僕だけど。
まだまだ、童貞に毛が生えた程度だから。
「……す、須山さん」
「……名前で呼んで」
「……
「……やばっ。胸と子宮が、キュンキュンしちゃう♡」
そのまま、僕はベッドに押し倒される。
「あたし、こんなギャルだから、周りにはあいつみたいに、サイテーな男がいっぱいいたの」
亜里沙ちゃんは言う。
「だから、ジローの誠実な言葉の1つ1つが、とても嬉しくて……愛おしいの」
「ぼ、僕だって……亜里沙ちゃんが、愛おしいよ」
「……嬉しい。もう、あたしのぜんぶ、ジローにあげる……本当は、ファーストキスも、処女も、ぜんぶジローにあげたかった。もっと早く、ジローに会いたかった」
「……僕は気にしないよ。だって、亜里沙ちゃんは、亜里沙ちゃんだから。これもまた、運命というか……」
「……もうダメ」
その後、僕にまたがった亜里沙ちゃんは、前よりもさらにダイナミックに巨大な胸を揺らしていた。
◇
もう、何回したか覚えていない。
「「はぁー、はぁー……」」
お互いにベッドの上で汗だくになり、息切れしていた。
「……ジロー、お願い……というか、提案があるの」
「えっ、何かな……?」
「エッチをするのはね……週1が良いかなって」
「週1……?」
「あと出来れば、オ◯禁もして欲しいなって」
「オ、オ◯……な、何でまた?」
「何かね、1週間我慢すると、テストステロンっていう男の人にとって大切なモテホルモンがいっぱい
「へ、へぇ~」
「あたしはもちろん、今のままの可愛いジローも愛しているけど……少しずつ変わって、あたしをドキドキさせて欲しいなって」
「そ、そっか」
「それから、テストステロンがいっぱい出ると……アレも大きくなるみたいだから」
「えっ」
「今のままでも、十分すぎるくらいだけど……もっと、たくましくなってくれたら、興奮するなって」
「あ、亜里沙ちゃん……」
「ど、どうかな? もちろん、あたしもオ◯禁するし。ジローが望むなら……もっと、おっぱい大きく育てるし」
「ち、ちなみに、今の時点でどれくらい……なの?」
「……Jカップ」
「は、初めて聞くサイズだ……」
「ちなみに、あと少しで3ケタ行きそうで、ずっと伸び悩んでいて……でも、ジローと出会ってエッチするようになってから……また、何か胸が張って痛くて」
「だ、大丈夫?」
「うん。これは嬉しい痛みだよ」
亜里沙ちゃんは、胸を押さえて微笑む。
「しょ、正直、オナ……自慰行為を我慢するのは、ちょっと辛いけど」
「うん」
「……亜里沙ちゃんのためなら、がんばれるよ」
「ジロー……」
亜里沙ちゃんが起き上がる。
「どうしたの?」
「明日から1週間、シちゃいけないから……今の内に、たっぷりヌいてあげる」
「えっ」
彼女は微笑みんがら、舌なめずりをする。
「どんどんカッコよくなってね、あたしだけのジロー♡」
「は、はい……」
その後、枯れる寸前まで
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