第1417話 神々の祭典なら

「パス様、神々の祭典がアリアで開かれているようです。」

パスは部下からアリアで開かれているオリンピアについての情報が遅れながら入ってくる。


「神々の祭典が開かれている?我々には招待の話が来ていないが?」

「復興中ですので届かなかったのでは?

もしかすると先日のイザコザからの嫌がらせの可能性もありますが・・・」

「神々の祭典はイザコザは関係無く招待するのが通例のはず、招待していないのならアリアに非がある・・・

そうだな、あえてアリアに出向き向こうの非礼を訴えれば我等に協力してくれるものもいるだろう。」

パスは名案を思いついたかのようにオルデンに報告に向かう。


「オルデン様、アリアにて神々の祭典が開かれているようにございます、我々も出向きルシィラが健在である事を示す必要があると思います。」

「アリアに・・・」

「そうです、オルデン様自ら出向く事で友好世界との協力を得ることもできます、

ご傷心である事は重々承知しておりますが、どうかルシィラの為にお立ちください。」

「しかし、この姿では・・・」

「ウィッグを御用意してあります、これを使えばオルデン様の異常に気づかれることは無いかと。」

「・・・着けてみよう。」

オルデンはウィッグをつけるのだが思いの外禿げ上がっていた部分を隠せる。


「これは!!」

「お似合いにございます、オルデン様。」

「そうか?」

「はい、誰もウィッグをつけているとは気づきますまい。」

「よし、ならばアリアに向かおう。」

オルデンとパスはアリアに向かうのだが・・・


「おい、何故我々を入場させない!」

入口のタケミカヅチに止められ入場を阻まれていた。

「ヨシノブの妻を誘拐しておいて、よくもまあ顔を出したものだ。」

「それとこれとは話が違うであろう!

たとえ紛争中においても神々の祭典の時は一時休戦する決まりだ。」

「これは神々の祭典では無い、ヨシノブが個人的に開催した催しだ、多くの神々は楽しむ為だけに此処に集まっている。

神々の祭典のように何かを話し合う為に集まった訳では無い。」

「それこそ詭弁だ、これ程の神々を集めたのだ、神々の祭典と呼ぶべき物だろう!」

「黙れこの誘拐犯が!

このタケミカヅチの名において成敗してくれる!」

タケミカヅチは腰の刀を神速で抜き、二人を斬り捨てようとする。


「くっ!!」

オルデンとパスは防御結界を張りながら後ろに飛びなんとか耐えきる。

「軽いな、それが一級神の守りか?」

タケミカヅチは二人を馬鹿にするように話す。

「不意打ちを仕掛けておいて何を言う。

しかし、天津神最強の武神と呼ばれているクセにこの程度の攻撃しか出来ないのか?」

オルデンはタケミカヅチを挑発に挑発で返す。


「ふっ、オルデン、自分の姿を見てから話す事だな。」

「なに?」

タケミカヅチの言葉が終るとオルデンとパスの結界がボロボロと崩れ落ち、二人が着ている服が全て細切れになる。


「なんだと!!いつの間に!」

「今日はヨシノブの目出度い日だ、お前ら下衆の血で汚す訳にはいかない、さっさと帰るがいい。」

「くっ、我等を侮辱する為に服を斬るとは!」

「おっと、オルデンいい髪型だな、イケメンの名を欲しいままにして若い女神が惑わされていたが、その姿なら千年の恋も冷めるだろうな。」

「なに・・・」

オルデンは思わず頭を触るが装着していたウィッグが存在しない・・・


「な、無い!私の髪が!!

無い・・・無い!!」

「露出狂のハゲ神よ、さっさと去るがいい、これ以上やると言うなら本気で消し飛ばしてやる。」

「オルデン様、引き上げましょう!」

「髪が無い・・・無いんだ!!」

「くっ!タケミカヅチ、この屈辱は忘れませんよ!」

パスはオルデンを連れて帰っていく。


「ねえ見た、あのオルデン様の姿、ちょっと幻滅したわ。」

「髪が無いって、神威で治せば良いのに。」

「治せないぐらい禿げたんじゃ・・・」

入場ゲートの前での騒動である、見ていたのは天津神だけでは無い、多くの世界の神々の前でオルデンは醜態を晒していたのだが、逃げる事に必死だった二人は知るよしも無かった・・・

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