第1414話 各国のオリンピア
「なんとしても不老の薬を手に入れるのだ!」
共産主義でありながら独裁者と化している国の元首は選手団に命令を下していた。
リョウの発表により無理矢理奪った薬には効能が失われると発表され、元首達は多額の報奨金により買取りを発表、強制搾取は行われることが無くなる。
そして、民主主義の国々でも不老薬を求める動きが始まっていた、裏で有力な選手に入手後の引き渡しについて多額の契約が行われたりしていた、特に金が確実と言われている選手には様々な人からのオファーがあり、一躍時の人となっていた。
世界中で不老薬を求める動きがある中・・・
世界中の人を巻き込んだオリンピアの開催に未だ開催中だった、パリオリンピックは休止状態へと追い込まれていた。
ヨシノブと争った翌日には選手達が逃げるようにパリを離れ、その後オリンピアの開催の発表により多くの人から忘れ去られていたのだが、当事者でもあったパリオリンピック関係者からするとたまったものでは無かった、大会は中途半端な所で選手不在により休止、予定されていた閉会式すら行う事が出来ない、パリ市長アンナの発狂は言うまでも無かった。
「どうなっているんですか!」
「そう言われましても、当方も被害者でして・・・」
アンナはオリンピック委員会に抗議するのだが、オリンピック委員会としてもオリンピアを認めた訳では無い、だが神々が観戦するオリンピアに異議の申し立てなどできない、ましてや選手達がオリンピックそっちのけでオリンピアに向けて準備を始めたのだ、何かを言って変わる物でも無い、せめて何かの利権に絡むことができないかと模索するのが関の山であった。
そして、アンナはフランスの記者を集めて会見を開く。
「今、オリンピックの歴史が汚されようとしています!私達が長年守り続けてきた平和の祭典が神を騙る一人のJAPによって破壊されているのです!これを世界は許して良いのでしょう!
否!許されて良いはずがない!」
そこまで言った所で雷が会見場の天井を破りアンナの前に落ちる。
「キャアーーー!!」
演説の最後がアンナ自身の悲鳴で締めくくられる。
「こ、これが神の御意志ということか・・・」
「関わるとやばい事になりそうだ。」
記者達は一人また一人と会見場をあとにする・・・
「だ、だれか助けて!ねえどうなっているの!!」
腰を抜かしたアンナは周囲に助けを求めるのだが、関わり合いを避けたい人達は誰もアンナに駆け寄る事無く立ち去っていく・・・
そしてパリオリンピックはオリンピックの黒歴史として語り継がれる事無く、ひっそりと閉幕するのであった・・・
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