第1410話 新たな大会

「オリンピックどころじゃ無いぞ!」

ヨシノブの発表は各国の騒ぎとなる。 


神々を怒らせているキリスト教圏ではゼウスの、いやその他の神々に楽しんでもらえる機会というのは喉から手が出るほど欲しい状況だった。

「全ての国際大会を中止してでも、オリンピアに向けて各競技者に準備をさせるんだ。」


各国が急ぎ準備を進める中・・・

「おい邪神、なんでお前は大人しくするっていう単純な事が出来ないんだ?」

俺は親友に正座させられ尋問されていた。


「いやいや、オリンピックの開催が怪しくなっていたから救済処置として別の場所でやれば良いかなって思ったんだよ。」

「ゼウスさんを巻き込んだのは?」

「オリンピックって、ゼウスさんに捧げられた競技会って聞いたことがあったから、中止になるお詫びがてらゼウスさんの前で行えばご褒美になるかなって・・・」

「その結果がこれか?」

世界中で各競技者があらためて代表選考に移っており、何があってもメダルをと国をあげて動いていた。


「いや〜スポーツが盛んになるなぁ。」

「反省しろ!邪神!」

リョウは俺の頭をゴツンと叩く。


「叩く事は無いだろ!」

「叩かないと壊れた神様は治らないだろ!」

「誰が壊れた神様だ!」

「お前だよお前。」

俺とリョウは一触触発状態に移る・・・


「はいはい、おとうさん、リョウさんと遊んでいる時間は無いですよ。

各種会場から始まって、選手村、プレスルームと作るべき建物は山程あるんです。

これが建設予定の建物です。」

カルラが資料を渡しつつ、俺とリョウを引き剥がす。


「カルラ、リョウをわからせないと・・・」

「そんな時間は無いです。

リョウさんも遊ばないで開会式の準備をしてください。」

「開会式の準備?

俺何かやる事あった?」

「開会式で使われる音楽全般をリョウさんとミウさんにお願いしました。」

「俺お願いされてない!」

「アキラさんにお伝えてしておきました、ハルくんと開会式を楽しみにしているそうです。

あっ、伝言で『ハルくんが楽しめなかったらわかっているだろうな。』と言ってましたよ。」

「・・・なんで!!

なんで俺も巻き込まれるんだよ!」

「運命だ友よ。」

「てめぇのせいだ!この邪神!」


「やるしかないな!」

「やらないか!」

「二人とも時間が無いんです、遊ぶのはあとにしてください。」

俺とリョウがやり合うのをカルラは止め、俺の手を取り引っ張っていく。


「ちょ、カルラ、そんなに急がなくても・・・」

「神様が沢山来るんです、早く準備しないと間に合いませんよ。」

俺は引っ張られるまま建築現場へと連れて行かれるのであった。


「あいつも大変だな〜」

リョウは連れて行かれるヨシノブを眺めていたのだが・・・

「リョウくんいた!歌の準備をしよ。」

「ミウ!なんでここに?」

「イゾウさんが案内してくれたの、リョウくんが曲を作ってくれるなんて楽しみで!」

「いや、俺は曲を作るとは一言も言ってないけど。」

「でも、アキラさんがハルくんにリョウくんの新曲を期待するように言ってたよ?」

「・・・」

結局リョウに選択肢は残されていないのだった。

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