第1409話 救済?

「パリオリンピックの残り種目はアリアで、ゼウス神の前で行えるようにします。」

俺はオリンピック委員会を始め各国に向けて発表する。

「ゼウス神ですか?」

記者から質問が来る、

「ええ、元々オリンピックはゼウス神に捧げる競技祭が始まりと聞きました、今回私とパリ市長の争いに巻き込まれ種目の参加が難しくなったお詫びとして開催出来たらと思い企画しました。」

「神に見られる試合ですか?」

「はい、ただ従来の金メダルとは少し違う形になると思うので私の方から別の報奨を用意させてもらいます。」

「どのような報奨を御用意なさるのですか?」

「優勝者には4年間の不老効果のあるお薬を用意致します。」

「えっ、不老ですか?」

「ええ、アスリートの方が一番喜ばれるのは長く競技が出来る事かと思います。

流石に不老不死は怒られるので期間を制限した不老ぐらいが私の裁量で許される範囲ですね。」

「いやいや、それはあり得ない薬なのでは?」

「神からの報奨です、ちゃんと効果はあります。」

記者達からざわつきが起きる。


「あ、あの、その薬を他者に譲渡は許されるのでしょうか?」

「できれば本人が使用して4年後にも素晴らしいパフォーマンスを見せてもらいたいと思いますが、譲渡も販売も許します。

最高のパフォーマンスを見せてくれた方への御礼とさせてもらいます。」


「こ、これほどの報奨があるならこれまで行われた競技の方々もあらためて行いたい人もいると思いますが、それについてはどうでしょう?」

「ふむ、それは考えていませんでした、ただオリンピックの中断が有り得たのでその救済と思い考えたのですが・・・」

「是非一考願えないですか?」

「わかりました、それではオリンピックでは無い、オリンピアと名付けた競技大会を開催します。

今年の種目はオリンピックと同じにします、詳しい事はもう少し検討してから発表します。」

「会場の設営は間に合いますか?」

「大丈夫です、神のチカラを使えばすぐに出来ます。

まあ、各国の選手の皆さんが来てくれるかどうかが一番の問題でしょうか?」

「その心配は無いと思います。」


4年の不老が手に入る大会である、手に入れ権力者に売ればいくらになるかわからない代物だ、そのうえ神の前で競技を行える、その栄誉だけでも充分であった。


「あっ、観客にはゼウスさん以外の神様も来ると思いますから、あまり失礼な取材はしないようにしてくださいね。」

俺の最後の言葉に記者達は一瞬引き攣るのであった。

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