第1408話 神々の怒りは
アンナの醜態はリアルタイムで世界中へと配信されていた、パリ市長の口からでるアジア人差別に中国を始めアジアの各国がクレームを入れる、そして欧州各国も恐怖に震えることになるのだ。
ヨシノブに対しての非礼は神に対する非礼と同等とみなされ、即各地の教会には神からの警告が出されていた。
「神々がお怒りになられている!
我々はパリとは無関係だ!我等は決してヨシノブ様を侮るつもりなどはございません!」
フランス以外の国の教会は即座に信徒を集め、パリとは無関係であり、身の潔白を神に誓う姿が見受けられていた。
「俺は帰国する!!」
オリンピックを終えた者は即座に帰国を選択する。
「おい、待てよ。俺は明日まであるんだ!」
「うるさい、これ以上パリにいて神罰が起きたらどうするんだ!お前も競技より命を大事にしろよ。」
「いやしかし・・・」
4年間オリンピックの為に練習を積み重ねてきた選手にとって大会を投げ出し帰国するなんて簡単に出来ない。
帰国か滞在か苦悩する者が多くいた。
「そうか、まだ競技が終わっていない人もいたのか、悪い事をしたな。」
俺はそのまま撤収したが、その事によって困っている様子をテレビで知る。
「ゼウスさん、ちょっとお願いがあるんですが?」
「ヨシノブ、何故ワシがお前の頼みを聞かねばならない。
お前はアキラとともにワシと戦った事を忘れていないか?」
俺はアリアに訪れていたゼウスに頼み事に来たのだがゼウスから冷たくあしらわれる。
「そうですよね、ハルノブその人はおとうさんと戦っている人だからお膝に乗っちゃ駄目だよ。」
「ひげじぃ?てき?」
「そうだよ。」
「いやぁ!!」
ハルノブが大泣きし始め、ワタワタとゼウスから離れようとする。
「ハルくん、ひげじぃは敵じゃ無いぞ、ヨシノブが冗談を言っているだけじゃ。」
「やぁ、ぱぁぱぁ!ぱぁぱぁ!」
あやすゼウスから、逃げるようにはいはいするハルノブを俺はダッコする。
「ヨシノブ、頼みとはなんだ?」
「大丈夫です、タラニスさんにお願いすることにします。」
「それをするとハルくんに嫌われたままになるではないか!」
「敵なら仕方無いかと?」
「くそっ!わかった、ワシはお前と争う気は無い!ちょっと冗談を言った事を真に受けるな!」
「そうでしたか?ハルノブ、誤解だって言ってるよ。」
「ごーかい?」
俺がダッコしたので泣き止んでいたハルノブがゼウスをジッと見る。
「そうじゃ誤解じゃ、ワシがハルくんに嫌われる事をするはず無いじゃろ?」
「ひげじぃ?」
「そうじゃ、ひげじぃじゃ。」
ハルノブが笑った事によりゼウスはデレっとした表情を見せる。
「ひげじぃ♪ひげじぃ、ごーかい、ごーかい♪」
「そうじゃ、そうじゃ。」
ハルノブが楽しそうにするとゼウスの表情は更に緩む。
「ゼウスさん、頼みなのですが?」
「良いあとにしろ、ワシがやれる事だろ、やってやるから今はハルくんと遊ばせろ。
まったくアキラがいつも出張って中々時間が無いというのにお前というやつはこの貴重な時間をわからぬとは。」
「わかりました、ハルノブ、ゼウスさんに遊んでもらうんだぞ。」
「だぁ〜」
既にゼウスにダッコされ、ヒゲを引っ張っているハルノブはわかったような返事をしていた。
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