第1406話 性転換
「なぁ、本当に女になるのか?」
覚悟を決めたとはいえカルマはヨシノブに再び確認する。
「ええ、神のチカラを使っています、必ず女になりますよ。
まあ、あとは書類的問題ぐらいでしょうが、それについてはあなたの国の対応次第でしょうか?」
「そ、そうなのか・・・」
カルマはドアノブに手をかけたまま入ろうとしない。
「さあ、念願の女性になれますよ、早く入ってください。」
「いや、しかし・・・」
カルマは躊躇い中に入らない。
「女性になりたくない?そういう事ですか?」
「そ、それは・・・」
俺の質問に言い淀んでいると・・・
「なんじゃ、さっさと入らんか。」
まどろっこしい事を嫌ったアキラがドアをさっと開け、カルマを蹴り込む。
「「「あっ・・・」」」
俺達から声が漏れる。
部屋に入ったカルマに異変が起きる、股間にあるべき男の象徴は無くなり、胸が出てきている、そのうえお腹が急に痛くなり股間から血が出てくる。
「いたいいたい、お腹が痛い・・・」
「あれ?身体に痛みは出ないはずなんだけどな?」
「ヨシノブさん、それは月のものだと思います、リミ、すぐに生理用品を持ってきてください。」
サリナはリミに声をかけて生理用品を用意する。
「助けて、こんなに痛いのは嫌だ。」
カルマは痛みから逃れたく助けを求める。
「その痛みに女性は毎月耐えているんです、女性になりたいというならその痛みも享受すべきでしょう。
でも、よかったですね、おとうさんがしっかりと女性にしてくれましたから・・・
出産の痛みも味わえますよ。」
リミは痛みに苦しむカルマに追い打ちをかける。
「出産・・・」
「そうです、女性は大変なんです。
軽々しく女性になり大変なんて言わないで欲しいです。」
「嫌だ、こんな痛みに毎月なんて耐えられそうに無い、今すぐ男に戻してくれ!」
カルマはすぐに助けを求めるのだが・・・
「残念だけど、それは一度だけだし、産まれてきた性を変えるなんて所業を何度も許す訳にはいかない。
君は女性として金メダルの栄誉を受けたんだ、女性として生きていくべきだろう。」
「嫌だ!金メダルが取れるから女性を名乗っていたんだ!
女性になりたかった訳じゃ無い!
頼むから男に戻してくれ!!」
「断る、お前にどんな理由があったとしても女性ボクシングに偽って出場して、その体格の差を利用して女性を殴っていた、それはスポーツではないタダの暴力だ。」
「違う、俺はメダルを取るために・・・」
「メダルを取るためには何をやっても良い訳が無いだろ。」
「いや、だって・・・」
「だってじゃ無いかな、お前の為にメダルを逃してしまった選手がいるんだ。お前の勝手に同情する気は無い。」
俺は泣きながら言い訳をするカルマを無視する事にする。
「記者の皆さん、見ての通り性を転換して女性になる事が出来ました、これで性自認の悩みは解決です。」
俺の宣言の裏で女性になったことを嘆くカルマの姿がテレビを通して世界へと配信されるのであった。
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