第1402話 タラニス降臨

「まったく、話を聞いていましたが、これほどまでに傲慢な種族だとは・・・」

降臨したタラニスは明らかに機嫌が悪い。


「タラニス様、全ての方々がこのような思想を持っている訳ではありません。」

一応リミが間に入りフォローしていた。

「そうかしら?先日まで別の種族を奴隷にして利益を享受していた種族よ。」

「人にとっては先日では無いのです。」

「まあどうでもいいわ、貴方達他国の事をとやかく言う前に自分達を振り返りなさい、神に贖罪する立場にありながら更に迷惑をかけるようなら大地ごと消し去ります。」

タラニスの登場から議場にいる全員が涙を流しながら跪いている、この場でタラニスに意見出来るのはリミぐらいだろう。


「タラニス様、多忙なところお声がけありがとうございます。

ドレイクさん、よろしいでしょうか?」

「は、はい。ありがとうございます。」

ドレイクもなんとか礼を言うのがやっとであった・・・


タラニスの姿が消えた時、バードを擁護する気力を持つものは議場だけでなく、放送を見たイギリス国民達には存在しなかった。


「バードを早く死刑にしろ!」

「神の怒りを買ったバードを許すな!」

すぐに掌返しが始まる、先程まで擁護していた者達がバードの死刑を求めて騒ぎ始める。


「見苦しいですね。」

あまりの有り様にリミから言葉が漏れる。

「申し訳無い・・・」

ドレイクも同じ感想なのだが、それでも謝罪をするしか無かった。

「いえ、ドレイク首相のせいではありません。

ですがあまりに酷い有り様を見せるとタラニス様のお怒りを買うかもしれません、くれぐれも御用心ください。

もし、最悪の場合はアリアに避難する事をおすすめします、ドレイク首相とレオさんのご家族ぐらいは受け入れる用意はあります。」

「その際はイギリス国民も助けて貰えないだろうか?」

「状況によります、タラニス様のお怒りが正当な物だった場合、私達にやれる事は少ないと思います。」

「やはり神の怒りは買うものではないな、国民に広く伝え我が身を見直すように伝える。」

「それが良いかと思います、タラニス様は私達から御意見出来る相手ではありませんので。」


「そうなのか?リミさんがお呼びになったぐらいだから、意見ぐらいは・・・」

「無理です、今回の件はタラニス様からの御提案でしたので私達が神威を展開しただけです。

私達がいなければそのまま天罰が下っていたかもしれません。」

「・・・それ程お怒りか?」

「お怒りです、アマテラス姉さまのお怒りを直接受けておりましたから・・・」

タラニスはアリアでアマテラスから文句を受けていた、自分の事ではないが管理を始めた事により責任が生じる立場になった以上、アマテラスに謝罪するしかなかった。


思わぬ謝罪を受ける事になったタラニスの怒りは危険な水準まで来ていたのだ。

「タラニス様のお怒りを鎮める事は叶わないか?」

「誠実になさる事が第一かと思います。

神々の中ではお優しくお話の出来る御方です。」

「わかった、リミさんくれぐれも良く言っておいて欲しい。」

「努力は致します。」

ドレイクが頭を下げ依頼するのであった。

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