第1399話 巻き込まれたイギリス
「パリオリンピック委員会がヨシノブと揉めている?」
イギリス首相ドレイクのもとにヨシノブがパリオリンピック委員会に抗議に行った事が知らされていた。
「まったく愚かな者だ、あれ程見苦しい開会式をしただけで飽き足らずジャッジまでアジア差別を入れていたらヨシノブが出てくるのも無理は無いだろう。」
「ドレイク、我々も笑っていられる立場では無いようだ。」
「レオどういう事だ?」
「先日、セーヌ川の件でフランスの記者がヨシノブに黒人の血が入っていると言って否定されていた話は知っているか?」
「ああ、我が国の記者がヨシノブと接点を持った時の話だな、報告はきている。」
「その話の発端が我が国イギリス国民が書いた小説なんだ。」
「小説が発端?ヨシノブで小説に書かれたぐらいで怒る事はないだろう、信じたフランスの記者はどうかしていると思うが。」
「それがな、その男は自分の論文を根拠に自分の小説が真実だと言って世界に流布しているんだ。」
ドレイクはレオが真面目に語るがあまりに荒唐無稽な事に少し笑いがでる。
「あはは、そんな事は無理だろう。」
「現に黒人の多くが信じ始めている、自分達はサムライなんだと。」
「なんと馬鹿馬鹿しい。」
「だが、それだけでは無い、日本では黒人奴隷を好んで使っていたと、我々欧州人の奴隷貿易の汚点まで日本に押し付けようとしている。」
「いやいや、無理だろ!」
「恐ろしい事だが、実際それを信じる者がいる。
ヨシノブはまだ気付いていないみたいだが、知れば怒るかも知れない。」
「日本政府は何をしているんだ、すぐに逮捕すべき案件だろう!」
「日本の議員にも間違った人権を言い出す者もそれなりにいる、すぐに対処は難しいのだろう。」
「ぬっ、確かに罪状は難しいところがあるか・・・」
「だが対岸の火事という訳では無い、イギリスとしてもなんとか対処しなければ、ヨシノブならまだしも他の神が出てきた場合は・・・」
「干渉してくると思うか?」
「してこない保証は無い、むしろ唯でさえ自分達の神に怒りをかっているのだ、これ以上心象を悪くするのは避けるべきだ。」
「わかった、その男は今何処にいる?」
「日本で准教授をしているそうだ。」
「そんな男が准教授か世も末だな。」
「日本も色々あるんだろ。」
「よし、その男に全ての論文の破棄を命じ、今後あらゆる場所にてこれまでの自身の主張を否定するようにさせる。」
「従うか?」
「その時は反逆罪で裁く。」
「反逆罪か!それは国王に逆らう者に出される法のはずでは?」
「国を滅亡の危機に立たせているのだ、反逆に違いない。」
イギリスは他国より先に厳しい処罰を出す事により、国としての関与が無い事を世界に、神々に示そうとするのであった。
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