第1397話 誤審かな?

選手村を作った事もあり、俺は子供達を連れてオリンピックの観戦をしていたのだが・・・


「うーん、なんかおかしくない?」

色々な所で誤審と思われるような判定で試合が決まっている。

極めつけは・・・


「おとうさん、なんで女性の試合に男性が出ているんですか?」

「なんでだろう?ルールに詳しくないけど何かおかしいよね?」

リミの質問に俺は答えを持っていなかった。


「わふぅ、強いものが勝つのです。」

「ポメ、そういう話じゃないんだよ、これはスポーツだからね、女性と男性で別れて行われるのが普通なんだよ、でもこれはおかしいよね。」


俺はオリンピック委員会に話を聞きに行く。

「これはヨシノブ氏、私はパリオリンピック委員会、タンゲです。

神を名乗られている方に会えて光栄ですな。」

「急な話しに面会を受けていただき感謝します。」

「ええ、感謝してください、アジア人風情に面会して差し上げるのですから。」

タンゲから感じるのは侮蔑の視線だった。


「失礼ですが私に思うところでもあるのでしょうか?」

「いえいえ、神を名乗られるヨシノブ氏に思うことなど・・・

それより、本日はどのような要件でしょう?」

「本日はオリンピックの誤審と思われる事態と性別の違う方の参加についてお聞きしたい、オリンピックはこの状況をどう考えているのですか?」

「そのような難癖をつけにワザワザお越ししてのですか?」

「難癖ですか?」

「そうです、ジャッジは適正に行われておりますし、彼女は女性です、問題はありません。」

「どう見ても女性に見えませんし、ジャッジもおかしくないですか?」

「日本が負けているからそう思うのです。」

「そうでしょうか?」

「そうです、そもそも完璧なジャッジは不可能です、そういう意味では誤審はあるかもしれません、ですがそれも含めてジャッジなのです。」

「なるほど、そこに何らかの意図は無いということですね。」

「そうです、おわかりできましたか?」

「わかりました、つまり正しいジャッジは行われているのですね。」

「勿論です。」

俺は話が平行線である事を感じその場を後にする。


「おとうさん、怒るべきなのです。

あれは絶対におとうさんを悪く見てたのです。」

ポメはプンプンと怒りながらも俺が大人しく引き下がったので反撃する事なく付いてきていた。


「まあ差別意識は有りそうだったけど、個人の主観まではどうしようも無いからね、それより正しいジャッジを行ってもらおうかな。」

「わふぅ?」

俺の意図がわからずポメは首をかしげているのであった。

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