第1392話 暇人に

「ヨシノブ、お前は忙しいみたいだな。」

「うーん、どうだろ?子供達が色々やってくれるからな、俺自身は暇人だよ。」

俺は先日のショウくん逮捕の後、未だ建設が続く牧場に来てトレッキングをしながらソウマと話していた。


「でもな、ニュースになってるぞ。」

「まあね〜」

ニュースでは最高裁判所の在り方が変わった事を報道しており、一部の旧メディアでは人を信じない脅迫的なやり方だと批難している者もいるのだが、既に主流から離れてしまったメディアである、多くの人がまたかと聞き流す状況にあった。


「ここでのんびりしてて良いのか?」

「子供達が優秀過ぎて何もやらしてくれないんだ。

特に今回は子供達の兄貴分に当たる子が被害にあったからね、積極的に解決に向けてみんな頑張っていたよ。」

「兄貴分って、日本人のあの子か?」

今回の一件でショウの姿も報道されており、アリアの要人として紹介されていた。


「そうだよ、まだ若いけど頼りになる子だよ。」

「まだ学生をしてるぐらいの歳なのに凄いな。」

「だろ、まあお陰で俺の出番が少ないけどね〜」

「リョウが言ってたぞ、お前は何もするなって。」

「あの野郎!!」

リョウの軽口を思わぬ所で聞くことになるのだった。


「ヨシノブさん、フランスの方がヨシノブさんに相談があるって訪ねて来ましたけどお会いしますか?」

牧場で馬の世話をしていた所にショウがたずねてくる。

「ショウくんが直接来るとは珍しいね。」

「丁度手が空いてましたから。」

「今回はお疲れさま、変なのに絡まれて大変だっただろ。」

「いえ、一番大変だったのはルーデルくんをなだめる事でした。」

「あー、一応攻撃禁止は言ったんだけど。」

「ヨシノブさんに撤回するようにお願いしてほしいって、縋り付いて来ました。

警察署だけでも爆撃したいって。」

「お疲れさま、なんであの子は攻撃的になっちゃったかな。」

「戦闘に対しては凄く優秀な子なんですけど・・・」

ショウはため息を吐く。


「ってそうじゃない、フランスの方はどうなさいますか?」

「緊急なの?」

「ええ、オリンピックの開催に関わる重大な問題とか。」

「そう言えば始まっていたね、開会式が炎上したって?」

「・・・芸術の都って何処に行ったんでしょう。」

「それ程だったの!」

「ヨシノブさんも観てみますか?」

「・・・遠慮するよ。

でも、始まっているのに相談ってなんだろう?」

「わかりません、ヨシノブさん本人に直接話をしたいって言ってましたので。」

「まあ、暇だし話ぐらい聞くか。

ソウマ、ちょっと帰ってくるよ。」

「おう、行って来い、子供達の迷惑になるなよ。」

「ならないって!ったくお前までリョウに毒されるなよ。」

俺はソウマに軽く手を振り帰宅するのだった。

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