第1389話 北斗の裁判

「えー、被告竜崎北斗並び南斗の裁判を始める。」

鬼とイゾウに連れられてやってきた瞬間、裁判が開始しされる。


「なんだここは・・・」

「おい、どうなっているんだ!」

「静かにしなさい、ここは法廷である、その態度一つ一つ見られていると心しなさい。」

「法廷?何を言っている!何処からどう見ても地獄じゃねえか!!」

北斗が言うのも無理は無い、裁判官と思わしき中央に座る者から始まり、前に座る者全ての頭に角が生えている。


「今回の裁判において我々鬼族が担当する事になった、ただそれだけだ。」

「それだけだけじゃ、じゃねえよ!

人はいないのか!」

「・・・一応、お前の弁護をする者として他国より人族を招待してある。

マックス殿、よろしくお願いします。」


「うむ、良い結果の為に全力を尽くそう。」

鬼の中に現れた騎士鎧を着た男に北斗は救いを見た気になる。

「騎士様、助けてください!嵌められたんです!」

「・・・赤鬼殿、資料はありますか?」

「こちらに用意してあります。」

マックスは資料に目を通す・・・


「ふむ、ショウくんに危害を加えたのか。

酒呑童子殿、これ程簡単な裁判に私を呼ぶ必要があるのか?」

「子供会が気にしているのはヨシノブ様の目です。

第三者の視点で判断を下して欲しいとの事です。」

「なるほど、ならば簡単だ、この者に弁護する価値など無い。」

「はあ!アンタは俺の弁護をするんだろ!」

「弁護と言ってもな、お前の何処に弁護するところがある。」

「いや、あるだろ、せめて減刑を求めるとか・・・」

「無い!」

「無いじゃねえよ!じゃあ何しに来たんだよ!」

「頼まれたからだ。

だが、私ではなくとも弁護の余地はあるまい。

アリア国のナンバー2であるショウくんをナイフで襲いかかったのだろう、どのような理由があれ死刑は決定事項だ。」

「いやいや、アリア国のナンバー2ってなに!」

「知らなかったのか?だが知らなかったで済む話でもない、酒呑童子殿、刑の執行は弁護人たる私の手で行っても?」

「構いません。」

「はぁ?刑の執行が弁護人?お前達頭がおかしいのか!」

「失礼な事を言うな、頭がおかしいのは弁護人だけだ、我々はマトモだと伝えておく。」

酒呑童子は即座に否定する。


「カルラさんからも厳しい沙汰を出すように言われているからな、死刑以外有り得ん、裁判官が無罪を言い渡したとしても私は死刑を勝ち取ったであろう。」

「裁判官!!この弁護人に弁護する意志がありません、再審を要求する!」

「異議を却下します、この人はマインズ王国の英雄であり、公明正大な裁判官として名を馳せている人です、今回第三国の中立の立場から弁護に来てもらいましたが本来忙しくこんな末端の裁判に関わる人では無いのです。」

「優れているか何だか知らないが言っている事がおかしい!」

「君の意見など求めていない、マックス殿本日は遠路ご足労をかけました。

カルラ嬢が労をねぎらいたいとお茶の準備をしております。

お戻りになる前にゆっくりとご休憩なさってください。」

「忝い!急ぎ戻ろう・・・

この者の始末は?」

「当方で行います、鬼の責め苦をじっくりと味わわせる予定にございます。」

「わかった、お任せいたす。

では失礼。」

マックスは一目散に転移門に向かって行く。


「おい、弁護人何処に行くんだ!待て!待てよ!」

北斗の声にマックスが止まるはずが無い、マックスは転移門に消えていくのだった。

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