第1386話 竜崎南斗逮捕

警官達は南斗の自宅にも襲撃していた。

「おい、どういう事だ、私がテロの幇助だと?

そんな真似をした事は無い!」

「貴方には他にも余罪がありますからこの際じっくりと取調べをするようにとの指示が出ております。」

「なっ!何処の誰がそんな命令を!」

「警視総監からです、この件につきましては総理直々に連絡が回り、腐敗した警察組織の立て直しとともに実行される予定です。」

「腐敗などとは・・・

私は何もしていない!」

「これまで竜崎北斗を庇い、犯罪を揉み消しておいて何を言う!」

「いや、あれは!」

「弁明の余地は無い、既に事は動き出している。」

「離せ!私はこんな所で終る男手は無いのだ!」

「うるさい!これまでどれだけの人がお前達の都合で苦しめられたか、今こそその酬いを受けろ!」

かつて部下だった者達も好きで北斗の罪を見逃していた訳では無い、ただ南斗の権力を恐れなるべく見ないように、関わらないようにしていただけだった、南斗より上からの指示さえあれば南斗を捕まえる事に抵抗は無いのだ。


「おい小暮、お前には随分目をかけてやっただろ、その恩を忘れたのか!」

窮地の南斗は自分を捕まえに来たものの中で見知った小暮警部に声をかける。

「恩?そんな物は無い、どれだけお前の尻拭いをさせられた物かわかったものじゃない、お前のせいで俺もこの先出世は無いだろう、」

小暮自身わかっていた、今回の一件には関わっていないとはいえ、これまで色々と疚しい事にも加担している、今後それらが明るみに出たあかつきには自身にも何らかの罰が出る事は間違い無い、だがそれでも警察という組織が健全化されるならそれも良しと思う心がまだ残っていたのだった。


「竜崎南斗、逮捕する。」

小暮が南斗に手錠をかける。

「この私に手錠が・・・」

長年警察官として勤め、県警本部長まで上り詰めた自分の手に手錠が書けられる、南斗はその事が信じられない・・・


「な、なあ、なんで私に手錠がかけられるんだ、おかしいじゃないか、北斗の罪を消すように言ったという証拠は無いはずだ、ならばこれは不当逮捕では無いのか・・・

私に忖度して罪を揉み消した者達もいる、決して私の罪では無い!」

「そんな言い訳は裁判所でするべきだ、我々は逮捕するのみ。」

小暮は南斗の言葉に耳を傾けることなく署まで連行する。


「くそっ、こうなったら不当逮捕で訴えてやるからな!

お前らも顔を覚えたからな、私の無実が確定したらその時は覚えていろよ!!」

「早く連れて行け、絶対に逃がすな、これは警察の威信に関わる事だ。

安心しろ、竜崎南斗が元の地位に戻る事は絶対に無い。」

小暮は喚き散らす南斗を見逃す事は無かった。

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