第1384話 取調べの終わり
第二取調室に駆け込んだ浅見は中にいる少年を見つけて身を正す。
「貴方が・・・
貴方様が竹内ショウ様であらせられますか?」
「えっ、はい、竹内ショウですけど・・・」
先程迄の取調べからのあまりの豹変にショウは少し引いていた、
「いやぁ~竹内様もお人が悪い、最初から総理のお知り合いならそうおっしゃってもらえればよろしいのに。」
「えっ?総理の知り合い!!」
取調べをしていた刑事達の表情がいきなり青くなる。
「徳川総理とはそれほどの面識はありませんが?」
「またまた、これ程すぐに電話をかけてくる間柄なのでしょう?
ご親族か何かでしょうか?」
「・・・それで私は帰ってもいいのですか?」
「勿論、竹内様のご自由になされて構いません、調書の事はこちらで良しなにはからせていただきます。」
「・・・はぁ。」
ショウは態度の豹変にあきれていた、ヘルマン達が日本政府に働きかけた事は浅見の態度から理解出来たのだが、それでも警察が権力にへつらう姿に失望は隠せない。
ショウはそのまま署を出ると迎えに来ていた子供達と一緒に帰宅するのであった。
一方・・・
「はぁ?なんであのガキが逮捕されないんだよ!」
北斗は伯父の県警本部長の竜崎南斗から連絡を受け怒りをあらわにしていた、これまで何度も自分と揉めた奴を訴え、訴えの取下げを願いに来た奴らを土下座させる事に優越感を得ていたのだ。
「今回は相手が悪かったという事だ、まあお前がやった事は訴えられても傷害罪程度だろう、謝罪して示談に持ち込むと良い。」
「面白くねぇなぁ。」
「そう言うな、これまで受け取った示談金があるだろう、そこから出せばいいだろ。」
「あんなもん、もう無いって。」
「無い?お前無駄遣いが過ぎるだろ。」
「あーうるさい、説教は嫌いなんだよ。」
「仕方無い、私が出してやるから話し合いに来た時はそれなりの額を渡してやれ。」
「ありがとう伯父さん。」
南斗は自身に子供がいない事もあり、早くして亡くなった弟の子北斗を大層可愛がっていた、そして可愛がり過ぎた為に世間に害悪を蒔き散らすような大人へと成長していたのだ・・・
「うん?誰だ?」
電話を終えた北斗の家の呼び鈴が鳴る。
「おい、アヤメ誰か来たみたいだぞ」
北斗は妻のアヤメに声をかけて来客の対応をさせ、自分はビールを開ける、平和な時間はこれまでとは知らずにビールを口に運ぶのだった・・・
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