第1382話 閑話ショウ取調を受ける
警察署に来たショウは既に何時間も取調室に入れられ警官と押し問答をしていた。
「君ねえ、正当防衛というけど、人の腕を折るなんて許される訳ないでしょ!」
「ナイフで襲われたのに正当防衛が認められないんですか?」
「ナイフなんてそんな物見つかっていない。」
「おかしいですね、現場に落ちていた筈ですし、此処に来る前に説明もしました。」
「黙れ!いい加減に罪を認めろ!」
「罪も何も正当防衛だと言っているんです。」
「まったく、強情な子だ。
大人しく罪を認めれば親に連絡して慰謝料で済むと先方は言っていらっしゃるんだ。
ほら調書は書いたからこれにサインしろ。」
書かれている調書にはショウが一方的に暴力を振るい腕を折ったと書かれてある。
「なんですか、これは?
ナイフのくだりがまったくありませんね。
それに少しぶつかったぐらいで難癖をつけてきた事についても触れられていません。」
「黙りなさい!これにサインをしないと何時までも此処から出る事が出来ないぞ!」
「任意同行のはずでは無いのですか?」
「黙れと言っている、サインをするしか君がする事は無い。」
「なるほど、リョウ兄が言っていた警察が腐っているというのはこういう事ですか?」
「なんだと!警察を馬鹿にするつもりか!」
「竜崎北斗の親族に県警察本部長がいるんですね、これまで何件も被害届を揉み消していると・・・
捕まった件は他県での犯行で本部長の影響力が届かなかっただけですか。」
「なっ!なんの話だ!」
「私の家族が色々調べてくれました。」
ショウはどこからともなく資料を机の上に置く、そこには竜崎北斗の家族構成から親族に至るまで、書かれてある。
「何処にそんな物を隠してあった!」
「今届きました。」
「今?何を嘘を言ってる!此処にいる限り何も届く事は・・・ってなに!」
警官が目を丸くしたもの無理は無い、先程まで無かったお茶ペットボトルが机の上にあり、それをショウが飲んでいたのだ。
「任意なのに何時間もお茶の一つも無いので家族に用意してもらいました。
さて、此処に物が届くという事は理解してもらえましたか?」
「何なんだお前は!」
「私は・・・あー姓を名乗るのは止めておきます、どうやらここの警官は信用出来ないみたいですから。
ショウとだけ名乗ります。」
「我々を信用しないだと!」
「はい、信用しません。
県警本部長に忖度して罪を揉み消そうとしているような警官を信じる者はいないでしょう。」
「生意気な奴だ!こうなれば少しぐらい・・・」
「これ以上茶番に付き合うつもりはありません。
まともな取調なら兎も角、罪の捏造をする以上、私としても行動に移します。」
「なんだと、お前にどんな行動が取れると言うんだ!」
「まず、私の国籍ですがアリアとなっています。」
「アリアだと?」
「ええ、それと肩書ですが国王補佐となっています。
私の拘束は外交特権を無視した行為となり、大きな外交問題へと発展しますがこれ以上拘束しますか?」
「何を馬鹿な事を言ってる、そんな子供の夢物語を信じる奴がいるか!」
「そうですか、あなたが信じないというのは勝手ですが名乗った以上、外交問題へと発展する事になります。」
ショウが告げた途端警察署内に電話が鳴り響く。
電話を受けた警察署長は青くなるのであった・・・
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