第1371話 北の知り合い

「牧場のオーナーっていきなりな話だな、詳しく話してくれよ。」

「ああ、すまない。

実は今俺は結婚してて妻の実家の牧場で働いているんだ。」

「おっ、いいね。育てているのはなに?」

「馬だ、競走馬の生産を行っている。」

「馬か、たしかに可愛いもんな。」

「いや、可愛いだけじゃ働けない事はよくわかったよ・・・

ただ今相談したいのは予算の話なんだ。」

「あー、経営が苦しいとかか?」

「はっきり言うとそうなんだ、妻のお父さんが経営していたんだが・・・

多額の借金を残して亡くなってしまったんだ。」

「亡くなった!それはご冥福をお祈りします。」

俺は一緒にいたソウマの家族にも頭を下げる。


「それは良いんだ、もうだいぶ経つからな。

ただ借金がその後も膨らんでしまって牧場を手放す事になりそうなんだが・・・」

「それならうちから貸してもいいけど?」

「それはそれでありがたい話だが、俺も妻も経営ができるわけじゃないという事はここ何年かでわかったんだ。

だから牧場その物を買ってくれないか?」

「牧場その物をか?」

「ああ、ヨシノブにお金を借りても返済出来る気がしないんだ、だがこのままだと大事な馬達を処分することになるかも知れない。

ちゃんと経営出来る人に買い取って貰おうと探していたんだが・・・」

「俺も経営は専門外だぞ。」

「神様にもなったんだ、なんとかなるだろ?

それかせめてちゃんとした知り合いを紹介してくれないか?」

「まあ、知らない仲でも無いしな、協力してもいいか。」

「本当か!!」

「まあ予算が無いわけじゃ無いからな、でも一度牧場を案内してくれよ。」

「いつでも来てくれ!」

「おう、それなら今から行くか。」

「えっ?今から?お前は旅行に来てたんじゃ無いのか?」

「目的地も無い旅だ、牧場を覗いてもいいだろミツヒラ?」

「いいぞ、お前が興味あるなら問題無い。」

妙にミツヒラが嬉しそうにしていた。

あれ、こいつ馬好きたったかなと思いながらもソウマの牧場に向かう事にするのであった・・・

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