第1370話 男旅、なんだけど?

「ミツヒラ、北海道に来たけど何処に行くんだ?」

「そうだな、函館で観光した後、登別の温泉に行って札幌市内の観光って感じかな?」

「あれ、なんかあまり決まってない感じか?」

「まあな、男旅なんてそんなもんだろ?」

「俺はいいけど、お前仕事は大丈夫なのか?」

「お前と旅行に行くと行ったら、仕事扱いにされた。

うちの社長がよろしくお願いしますと言ってたよ。」

「あー、なんか気を遣わせちゃったかな?」

「大丈夫だ、ただクレアグループにはよろしくしてほしいかも。」

「まあ妻の実家でもあるし、ちゃんとするさ。」

「ルナさんだったよな、本当に頼むぞ。」

「大丈夫だって、ちゃんと家族として大事にしてるからな。」

本当に大事にしてほしいのは俺のほうかもと夜を思い出すと考えてしまう自分がいた。


「それじゃ、男旅と行くか。」

「そうだな〜まずは五稜郭に行こう!」

「いやいや、まずは食事だろ!海の幸を食べようぜ。」

「腹ごしらえか悪くないな、それじゃ海鮮丼食べようぜ。」

「ちょっと待てよ、今おすすめを調べるから。」

「おー任せたぞ〜。」

俺達はミツヒラがネットで調べた店に向う。


「流石に混んでるな。」

「有名店だから仕方無いだろ。」

「まあ、待つのも醍醐味だよな。」

俺達は行列に並び待つのだが・・・


少し前で完売したようで店が閉まる。


「すまんヨシノブ、まさか店が閉まるとは・・・」

「仕方ないさ、あれだけの行列だったからな、まあ腹も減ったしそのへんでラーメンでも食べようぜ。」

申し訳無さそうにするミツヒラだが俺は気にも止めていない、これこそ旅の失敗談の一つだろう。

きっと、ここで食べたラーメンの味も含めて後日の話題になるそう思い店に入る。


「らっしゃい!」

大将の声を聞きながらカウンターに座る。

「ほらミツヒラ、ラーメン食うぞ。

大将、俺は味噌ラーメン一丁。」

「じゃあ俺は塩ラーメンで。」

落ち込むミツヒラの背中を叩き、ラーメンを頼む。


「おっ、いける。

美味いな。」

「寿司からラーメンか・・・」

「ミツヒラ、気にし過ぎだって、寿司なんて後で食べればいいだろ。

今はこの美味いラーメンを堪能する時だ!」

「そうだな、ヨシノブ。

気にしてちゃしょうが無い。」

男二人ラーメンをすするのだが・・・


「あれ?ヨシノブ?

おい、ヨシノブじゃないか?」

テーブル席に座っていた家族連れの男が声をかけてくる。


「だれ?

・・・って、ソウマ?ソウマじゃないか!」

俺は中学の時に転校して行った友人、伊達ソウマに出会う。


「懐かしいな、元気にしてたか?」

「ま、まあな、色々あるけど元気ではあるよ。」

「色々?まあ大人になったんだから色々あるよな。

しかしまあ久しぶりだ。」

「ヨシノブ、知り合いか?」

「おう、中学の同級の伊達ソウマ、こっちは高校の同級の三村ミツヒラ、男旅で北海道旅行に来てるんだ。」

「それはまた優雅なものだな・・・」

「まあ、俺も色々あったからな。」

「・・・」

ソウマが何か言いたそうにしている事に気付く。


「なんだ、悩み事か?

俺で良かったら聞くぞ。」

「・・・なぁヨシノブ、お前神様になったんだよな?」

「まあな、と言ってもあんまり自覚はないけどな。」

「・・・少し頼み事をしていいか?」

「聞けることならな。」

「頼む!うちの牧場のオーナーになってくれ!!」

「へっ?」

思いも寄らない言葉に俺は固まるのであった。

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