第1362話 東京散歩

「やっぱり外を出歩くのはいいね。」

オウチにいると色々搾り取られてしまうので今日は子供達と一緒に東京に来ていた。


「おとうさん、別にオウチでのんびりでも良かったのに。」

「いや、毎日はオウチで引き籠もりは身体に悪い!たまには外の空気を吸わないと。」

「まあ大事なのはタイミングとかって聞きますから・・・」

「オットー、何処でそんな話を聞きつけているのかな?」

「あはは、最近の子供会の議題に上がってました。

あっ、男の子と女の子の産み分け方とかいうのも熱い討論が。

僕は妹が欲しいんですけど、ハルくんの弟というのも捨てがたいと思うんですけど、おとうさんはどっちが欲しいんですか?」

「おい、オットーおとうさんに聞くことじゃないだろ?

子供についてはおかあさん主導で決めるって決めたじゃないか。」

パウルがオットーの質問自体を批判する。


「ちょっと、待ちなさい。

子供会は何を話し合っているのかな?」

「次代の宝についてです。

少子化対策は早めに立てておかないといけないそうです。」

パウルは何も問題が無いように答える。

「子供会の議題にする話じゃないからね。」

「大事な話です。」

オットー、パウルは真剣な顔をして答えてくる。


「次の都知事にはこの大池をよろしくお願いします。

皆さんの清き一票を、この大池に!!」

俺達が話している中、選挙カーが大きな音を立てて走っていく。


「・・・うるさいな、おとうさん射撃許可を。」

「既にロックオンしています、いつでも撃てます。」

「二人共落ち着きなさい、ただの選挙の宣伝だよ。」

「しかし、騒音を立て過ぎです。

おとうさんの耳が悪くなったら万死に値します。」

「大丈夫だって。

しかし、都知事選か、誰が勝つんだろ?」

「おとうさん、勝たせたい人がいるんですか?」

「そういう訳じゃないけど、まあどんな公約を言っても実現したりしないからなぁ。」

「公約を実現しない?

公約とは住民との約束、ある意味契約なのでは無いのでしょうか?

それを不履行なら詐欺では無いのですか?」

「うーん、どうなんだろ?少なくとも詐欺で捕まったとは聞かないな。」

「酷い話です、そんな選挙に何の意味があるのです?」

「さぁねぇ?」


俺達は目的地でもあった東京ドームシティに着いたのだが・・・

「あっ!ヨシノブさーん!ヨシノブさーん!こっちです!こっちですよぉ〜」

俺を呼ぶ声に振り返ると信号の先にイチゴが元気に手を振っている。

後ろにカメラが回っているように見えるのは気の所為だと思うことにした・・・

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