第1360話 裁判所

最近子供達が手伝わせてくれない、子供達の成長を喜ぶべきなのか、何もやる事の無い自分を不甲斐無いと思うべきなのか、俺は自問自答する。


そんな中、日本で十年もかかった裁判が最高裁判所で高裁に差し戻されるというのも判決がくだされていた。

「この裁判いつまでやるんだろ、子供の時からやってたよな。

最高裁判所まで来たんだから判決出せよ。」

俺は戻すという判決を出したことに呆れていた。


その一方、罪を確定させる事の難しさも考える、間違えた判決を出すことは取り返しもつかない、冤罪を防ぐ為にも、長い裁判も必要なのかも知れない・・・


「待てよ、裁判所で嘘をつけなくなるのは良いよな。

うん、暇だし少し行ってみるか。」

俺は最高裁判所に向かう、ちょっとだけの暇潰しだった。


「ふぅ、こちらスネーク、潜入に成功した。」

俺は訓練されたスパイのように最高裁判所に忍び込んでいる、スネークと名乗ったのは様式美である。

警備員、監視カメラ、様々な防犯設備を身体能力を使いくぐり抜けて行く。


「こんなの見つかったらみんなに怒られるなぁ〜」

誰に聞かれる事も無い言葉を発する、

子供達が知ると止めるだろう、安全を言われ護衛に付くだろう。

だが、たまには一人の時間も良いのではないだろうか。

俺は一人納得しつつ、先に進む。


進んだ先には当然裁判室が存在する。

「さてと、ここで神威を発動してと・・・」

俺は裁判室では嘘をつけないようにする。

元々真実を語る事を誓うのだ、別段問題は無いだろう。


俺は再び気配を消し、今度は脱出ゲームを楽しむのであった・・・


後日・・・

最高裁判所は阿鼻叫喚となる。

「私がやりました、これまでの供述は全て嘘です。」

「私は嘘を知りつつ弁護をしていました。」

被告側がこれまでの嘘を告白する中・・・


「私は法より自分の感情、利益関係を重視して判決を下していました・・・」

裁判長まで自分の罪を告白する異常事態を引き起こす。


「それでお前がやったんだろ?

正直に言え。」

俺は取調べを受ける身となる。

最高裁判所の混乱から1時間も経たないうちにリョウが現れたのだ。

「な、なんのはなしかな?」

リョウはテレビをつける、そこには最高裁判長の失言を大きく取り上げていた。


「お前が何も考えずに神域を作ってんだろ?」

「いやぁ〜きっと裁判長も真実を話したくなったんだろう。」

「・・・何故何も言わずにやるんだ?」

リョウは俺の言葉を欠片も信じていない、俺の答えを聞いていないかのように話を進める。

「リョウ、これには理由が・・・」

「無いな、どうせ思いつきか、暇だったんだろ?」

リョウは答えを聞いてくれない、どうやら口を開く前から俺が返す返事を嘘だと見破っているようだ。


「・・・最高裁判所で嘘が無いのは良いことじゃないか?」

「確かに良いことだ、だが何故黙ってそれをやる?」

「たまには神の気まぐれを発動しただけだ。

他意は無い。」

俺の言葉に頭が痛そうにしているリョウの姿があった。

「いいか、ヨシノブ。

報連相、わかるか?

報・連・相だ、報告して、連絡して、相談だ。」

「わかってるって、トップに報告、連絡、相談だろ?

あれ、トップって俺の事じゃね。」

「おい、混乱を呼ぶ邪神、適当な答えを返すと訓練時間が増すと考えろよ、最近爺さんが丈夫なサンドバッグを探しているんだ、返答には気をつけろ。」

「・・・私がやりました、善かれと思ったんです。

裁判が早くなるかなって・・・」

俺は自分の罪をあっさりと認めるのであった・・・

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