第1359話 支社長

「では、話を始めましょうか・・・

モンド、貴方にはルシィラの管理を任せようと思います。」

「ルシィラの管理ですか?」

「そうです、現在ルシィラの七割は我等の信仰に塗り替えています、完全に奪い取ってからになりますが維持管理を任せようと思います。」

「つまり、私が主神に?」

「そうですね、支社長ぐらいの立場になるでしょうか?現状多くの者が動いてますがいつまでも総動員する訳にもいきませんからね、モンドがオルデンの配下を引き抜いて管理するというなら任せてもいいと思います。」


ゴクリ。


モンドのツバを飲む音が出る。

モンドは1級神であるとはいえ、ルシィラではそこまで大きな存在ではない、このまま頑張った所でパスの部下から上に上がる事もない身なのは自分でもわかっている。

だが、今のヘルマンの言葉に乗ればパスの、いや、オルデンの立ち位置まで上がれるというのだ。


「勿論、おとうさんの傘下、属国扱いになりますので我々の命令には従ってもらいますが、それでも今の貴方の立場としては申し分無い話だと思ってますよ。」

「私が連れてきた者も受け入れてもらえるのか?」

「ええ、内部人事については大きく口出すことはありません。

ただし、おとうさん及び我々に敬意を払えないなら許す事はありません、その点はよく躾ける事。

あまりに酷いとモンド、貴方の首も危険だと認識しておいてください。」

ヘルマンが首をトントンと叩く、それは主神の地位というだけではない、物理的に落ちるということは理解できる。


「当然です、私を始め新生ルシィラはヨシノブ様の部下であり、下僕であります。

ヨシノブ様達に敬意を払えぬ者を庇うつもりはありません。」

「今はその言葉を信じましょう。

私は言葉より行動で判断します。

よく部下になる者達を躾けるのです、命を拾う機会は多くありませんよ。」

モンドはコクコクと頷くのであった。


ヘルマンとの対談を終えたあと、モンドは再び戻り仲間を募る・・・

既にヘルマンの恐怖に縛られたモンドにヨシノブを利用しようという不遜な考えはなかった。

ただ、生き残る為に助かるべき仲間を集める、パスに見つからないようにその行動は密かにだが確実に勢力を増していくのであった。

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