第1358話 心を折る
「さて、モンドさんお話をしましょうか?」
別室に入るとヘルマンの気配が先程までの温和な感じが消え、威圧を感じる・・・
「ヘルマン殿、いったい・・・
「おとうさんは優しいので感じなかったかも知れませんが貴方がたは現状敵なのです、それをよく考えて発言してください。」
ヘルマンの言葉に背筋が寒くなる思いをしたのだと思ったのだが、よく見ると部屋に一人の老人が立っている。
「コヤツがサリナさんの誘拐犯一味か?」
「直接ではありませんが、その一党です。」
「ならば斬るか。」
老人の殺意が軽く向くだけでモンドの背筋に冷や汗が滝のように流れ出す。
「申し訳ありません!私はヨシノブ様に逆らうつもりはございません!
どうか、命ばかりはお助けください!」
モンドは座っていた椅子から転げ落ち土下座して命乞いをする。
「・・・ヘルマンどうする?」
「勿論、始末したりはしません。
無駄なく有効活用致します。
ただ、どちらが上位かわからせる必要がありましたので。
アキラさん、お手数をおかけしました。」
「うむ、ヘルマンなら問題なく処理できるであろう。
ワシはハルくんとの散歩があるでな、先に失礼する。」
「アキラさん、これをお持ちください、今ハルくんが一番気に入っているお菓子です。
きっと上機嫌になると思います。」
「おお、いつも悪いな。
ハルくんの笑顔は何よりの楽しみじゃからのぅ。」
アキラはヘルマンからお菓子を受け取り部屋から出ていく。
「い、いまの方は?」
「神々では有名と聞きましたが・・・
アキラさんです、人にして神を倒す剣士です。
「あれが決戦兵器と呼ばれる・・・
しかし、コントロール不能なはずでは?」
「失礼な事を言ってはいけません、アキラさんは道理を通せばわかってくれる人ですよ。
まあ、安易に近づくと命の危険はあると思うのでおすすめはしませんが?」
モンドは一瞬アキラを取り込む事が出来ればと考えがちらつくのだが、そうなると何故ヘルマンが今自分に伝えたのか・・・
そう考えるとゾクリとする。
「気付きましたか?貴方がたにアキラさんを寝返らす事は不可能ですよ。
あの人はどんな条件を提示しても我が道を行く方です。
もっとも試してみてもいいですよ。
代わりにただ命を対価にしなくてはならないですが・・・」
モンドの心は折れる、目の前の少年は人であり、歳も大したことは無い、だが自分との器量の差に気付かされてしまったのだ。
神々が制御不能としているアキラを自在に操り、ヨシノブから全面の信頼を受けているのは伊達じゃ無いのだ。
「失礼しました。
このモンド、以後不届きな考えは抱かないと誓います。
どうか私に道を示してください。」
モンドは膝をつきヘルマンの軍門に下るのであった。
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