第1355話 揺れるルシィラ
シュートとセーブが死んだ事はルシィラの神々にも情報が入る。
「シュートとセーブが死んだか、それで復活はいつになりそうだ?」
神は死んだといえど、完全に消滅する事は少ない、通常神威が貯まり次第蘇る事が出来るのだが・・・
「不明です・・・」
「なに?」
「神威が全く貯まらないのです、シュートやセーブが復活出来るのはいつになる事やら、パス様、神威を貯めるシステムに問題があるのでは無いですか?」
「これはアーア製とはいえ、最新式だぞ、問題があるようには見えん、モニターで確認しても正常に可動している。」
「何故アーア製なのです!あそこは安かろう悪かろうの製品ではないですか!」
「仕方あるまい、急遽仕入れる事が出来たのはアーア製だけだったのだ。」
「天津製を何故仕入れ無いのですか?」
「・・・天津製は高い、城を失い貯蓄を失った今では手が届かん。」
「たしかに天津製は高いですが、その分性能は段違いです、ローンを組んででも天津製に切り替えたほうが・・・」
「サファくん、それは越権すぎるのではないか?」
パスは意見をいう部下を軽く叱る。
普段はこの程度で怒るパスではないのだが、痛い腹を探られるような会話に多少なり苛立ちを覚えていた。
「あっ、これは失礼しました。」
「わかればいい、天津製を使えない理由があるのだ、君達は今ある環境で最善を尽くせ。」
パス自身部下に八つ当たり気味に叱った事を理解している、だがそうしなければならない事情というものがあったのだ。
「おかしいですよ、天津製は高いといっても絶対に使うべきなんです。」
その夜、サファは同僚のモンドと飲みに出ていた、理不尽に怒られたと感じるサファはモンドに愚痴を吐いていた。
「パス様がそれぐらいで怒るとは、かなり余裕が無いように感じるな・・・」
「なんの話ですか?」
「我々ルシィラは今神界の爪弾きになっているのだ。」
「えっ?」
「どうやらアマテラス様の末の息子の嫁をオルデン様が誘拐したらしい。」
「誘拐!アマテラス様の息子の嫁を?
それって宣戦布告・・・いや、それより悪いですよね!」
「当たり前だ、やっていい事と悪い事があるだろ、だから他の神界から嫌われているし、天津神に絶縁されているとの事だ。」
「信じられません・・・」
「軽く調べただけで色々出てくる・・・
このままじゃ、我々は破滅だ。」
モンドは目の前のグラスを一気に煽る。
「・・・謝罪とか出来ないのでしょうか?」
「謝罪?」
「悪い事をしたら謝るのが一番です。
話し合うにもまずは謝らないと。」
「たしかに一理あるが、我々にすら隠すパス様や姿をお見せにならないオルデン様が謝ると思うか?」
「たしかにそうですね・・・
でもまずは謝らないと・・・」
サファは飲み過ぎたのか、段々眠くなっていく。
「サファ、こんな所で寝るな、起きろ、おい!
ったく、酔い潰れやがって・・・
しかし、謝るか・・・」
サファの天然気味な言葉はモンドの心に響いていたのだった。
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