第1352話 決着

「セーブ!何か来るぞ!」

「ぬっ!!まずい、前方に全力で結界を張る、周囲はシュート任せたぞ!」

「おい、ちょっと待てよ!」

「待てるか!死にたくなければ全力を出せ!」

防御に長けるセーブだからこそ感じるのだ、46センチ砲が放った砲弾の脅威を・・・

セーブは全てを46センチ砲に対応する為に他の砲弾は無視をして結界範囲を狭く、強固にして砲弾に対応する。

「ぬおぉぉぉ!!」

セーブは神威を捻り出した結果、両腕はボロボロになったがなんとか耐えきる事が出来た。


「はぁはぁ、くそっ、何なんだあれは・・・

あんなのがあるなんて聞いてないぞ。」

「大丈夫かセーブ?」

「大丈夫に見えるか?

それより退くぞ、このまま戦う事など出来ないだろう。」

「しかし、人風情に後ろを見せるのは・・・」

神として降臨しているのだ、安易に引き下がれば、自分達を信じる信徒達を見捨てる事になる、シュートは少し渋る・・・


「次弾、発射準備!」

ロンメルは迷うことなく次弾の準備を進める、ロンメルにとって46センチ砲といえど一つの攻撃手段なので受け止められた所でショックを受けることは無い、しかも様子を見るにそれなりのダメージを与えていることは確認出来ているが、ならばこそ落ち着いて次弾の準備を推し進める。


「ロンメル将軍、次弾準備完了」

「照準は?」

「目標捕捉しています。」

「ならば次弾発射!」

「発射にゃ!!」

次弾が然程時間をかけずに発射される。


「ま。まて・・・」

既に神威を出し切っているセーブに二発目を受けるチカラは残されていなかった、なすすべもなく巨大な砲弾にその身を貫かれる。


「セーブ!!」

シュートは僅かに後ろにいた事とセーブと違い神威が残っていた事から、飛び退いたあと神威を防御にまわしてなんとか生き残る事に成功する。

だが神威を使い果たし、身動きの取れない程の重傷を負ってしまう。


「がはっ・・・ま、まずい一度戻り身体を癒さねば。」

シュートは神達が身体を癒す世界へのパスを開こうと神威を絞り出したとしていたのだが・・・


「シュートさま?いやシュート、邪神の癖に良くも俺達を騙してくれたな!」

身動きの取れないシュートの周りには先程までシュートを讃えていたオルデン教の信徒達が集まってきていた。

「お前達、早く我に祈りを捧げよ!」

シュートにすれば目の前で祈ってもらえれば転移に必要な神威を集める事が出来る、信徒達が集まった事に喜びを感じるのだが、それは長くは続かなかった。


「よくも今まで俺達の祈りを搾取したな!」

一人の男が持っていた槍をシュートに刺す。

従来なら槍が刺さる事など無いのだが、神威を使い果たしたシュートは人と大差ない防御力しかない、槍はシュートに深々と刺さる。


「ぐはっ!貴様、神である私に何という真似を!」

「おい、槍が刺さったぞ、コイツラは神なんかじゃない!俺達を騙していたんだ!」

「くそっ!今まで信じていたのはなんだったんだ!ちくしょーー!」

別の男は剣を怒りのまま振り下ろし、シュートの腕を斬り落とす。


「ぎゃあ!!よくも私の腕を!神威が戻り次第貴様らには天罰を・・・ぐぼっ!」

シュートは最後まで言うことすら出来なかった、別の男がシュートの口に剣を突き刺したのだ。

「やれるもんならやってみろよ、この神の名を騙る不届き者が!!」

口に剣を刺した男はシュートにツバを吐きかける。

剣が刺さり喋る事の出来ないシュートは男を睨みつける。


神であるシュートは神威が切れているとはいえ人の武具で簡単に死ぬ事は無い、次々に剣や槍を刺され激痛に苛まれながらも命はあったのだ・・・

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