第1348話 こんな時に・・・
「マックス様、それで今日はどんなご要件でしょう?」
時刻は14時、仕事を手早く片付け帰ってきたカルラにマックスが訪ねて来ていた。
「あのですな、今日はお日柄も良く・・・」
「ええ、天気はよろしいですね。」
「いえ、そうでは無く、その・・・」
既に三十分ほどこの状態である、15時に抽選会場にいなければ手料理にありつける機会は失われてしまう、カルラの心に焦りが生まれていた。
「よし、カルラさん!今日ディナーなど如何でしょうか!
王都の一流レストランを予約したのです!」
マックス一世一代のデートへの誘いである。
「えっ?無理です。
・・・あっ、失礼しました、本日は家族で食事をすることになっておりまして、折角のお誘いですが申し訳ありません、お断りさせていただきたく思います。」
思わず、ストレートに答えてしまったが、言い直した所で断わる事に違いは無かった。
「えっ、い、いや、家族と食事?いつも家族と食事をされているのでは無いのですか?」
「今日はちょっと違うのです、おとうさんの手料理が振る舞われるとの事で私達みんなが楽しみにしているんです、ですので今日はお断りさせていただきたく。」
「そんな・・・」
マックスは膝から崩れ落ちる。
そんなマックスを置いてカルラは時間の差し迫る為、抽選会場に向かうのであった。
「マックスどん、今日は日にちが悪すぎるべ。
それになんで今日にしたんだ、こういうものは少し先の日取りにしてだな・・・」
落ち込んだマックスはその足で青鬼のもとに駆け込み事情を話していた。
「先の分も予約はしてある、だが今日も食事に行けるならと思ってだな・・・」
マックスの運の無さには青鬼も天を仰ぐのみである、食事ぐらいならカルラだって付き合ってくれるだろうに何故ピンポイントで誘われたくない日を選んでいるのだろうか、元々カルラは社交性の高い子である、事前に誘ったりすれば普通に応対してくれるだろう。
「マックスどん、レディには準備があるべ、レディを誘うには先に連絡をしてから誘うのが礼儀だべ。」
「準備など無くともカルラさんが至高の存在であることに変わりは無い!」
「マックスどんが良くともカルラちゃんが良いとは限らないべ。
レディは出掛ける時にはちゃんとした準備が必要なんだべ。
せめて訪ねてくる時ももう少し早く連絡をするとか・・・」
「つまり!私の為に着飾る準備が必要だと!そういう事なのだな!」
「ま、まあ、そんなところだべ。」
「いや、カルラさんのそんな乙女心に気付かず、私は何を狼狽えていたのだ、青鬼殿、いつも感謝致す!」
「気が晴れたのならいいべ、ただちゃんとわかってるべか?」
「大丈夫だ!次はちゃんと連絡をいれてから誘う!」
「まあそれが大事な事だべ。」
マックスがちゃんと理解出来ているか、青鬼は少し不安になるのであった・・・
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