第1344話 クレアグループと取引

翌日、ミツヒラの会社にはクレアグループから社員サイラスがやって来ていた。

「ミ、ミツヒラくん!これはどういうことなんだい!」

ミツヒラは翌日出社してから報告しようとしていたのだが、クレアグループは会社が開く前から待っており、社員の誰よりも早く来ていた社長ヨシロウは話を聞くと、国際的大企業の名前を聞いて驚き、好条件での取引依頼に目を丸くした上、名前が出てくるミツヒラの名前にワタワタしていた。


「社長、実は・・・」

ミツヒラは昨晩の事を説明する、その際クレから取引の停止を言われた事も含めて説明する。

「いやいや、クレって営業の一人だろ?取引停止なんて権限もってないと思うけどな。」

ヨシロウは首をかしげる、そもそもかなり値引きしての取引である、向こうも取引停止すると商売が成り立たないと考えるのだが・・・


「問題ありません、向こうが取引停止しなくても違約金を払って停止してほしい。

もちろんその予算はこちらから提供します。」

サイラスはヨシロウとミツヒラの会話に割って入る。

「いやいや、そこまでしてもらう訳には・・・」

「いえ、我が社としましてはこの一件に関わる全ての予算を出すように厳しく言われております。

出させてもらわないとこちらも困るのです。」

ヨシロウはまだ話について来ていなかった、クレアグループがここまで手を出してくる事に理解が追いついていない。


「あの、そこまでしてもらっても私から何か出来る事になんてありませんよ?」

ミツヒラはクレアグループが自分を通してヨシノブに恩を売ろうとしている事は理解していた、だからこそはっきりと伝える。


「何を言ってますか?ヨシノブ様が我が社を頼る事などほとんど無いのです、そのヨシノブ様が直接連絡を入れてきたのです、我が社としましては全力でそれに答えるだけです。」

「いや、クレアグループって言えばヨシノブの妹夫婦が勤めているところでしょ?

私の事を置いても充分に繋がりがあると思いますが?」

「ミツヒラさん、ヨシノブ様への繋がりはどれほど合っても良いんですよ。

特にあの方に意見出来るようなご友人の方とは縁を持ちたいと考えております。」

「買い被りです、リョウならまだしも俺の意見が通るとは思えませんよ。」

「リョウさんは既に源グループに取られていますから、我が社としましては嫁ぎになられたお嬢様の味方になるべきヨシノブ様のご友人を確保したいのです。」

「嫁いだ?」

「はい、ヨシノブ様の側室にクレアグループの会長レオ様の御息女ルナ様が入られました。

ヨシノブ様の奥様は数多くなると考えられますので少しでも影響力を得る為にもミツヒラさんにはご協力願いたい。」

「俺はヨシノブに悪いことはするつもりはありませんよ。」

「悪い事などしなくても構いません、ただヨシノブ様に意見を出せる位置におられるのが大事なのです。

私達としてもヨシノブ様に敵対する様な真似をするつもりはありません。」

サイラスの言葉に嘘は無さそうである。


「社長、クレアグループに頼っても大丈夫みたいだと思います。」

「そ、そうかい、信じられない話だが、本当にこの条件で契約しても構わないのですか?」

「はい、当社としてはこの件で利益は金銭とは別の所にあります。

それに製品も確認しましたが充分な高品質の品をお作りになられています、当方が出した契約は損をする様な物ではありません。」

ミツヒラの所属する会社はクレアグループの協力会社として運営するようになる。


その後、高い技術力によりクレアグループ内で目立つ存在となるのだが、それはもう少し先の事であった。

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