第1337話 置物になる

「おい、ミツヒラ大丈夫か?車に酔ったのか?」

車に乗せたのはいいがミツヒラは置物のように動かなくなる。

「リョウ、お前加減を忘れてやりすぎたんじゃないか?」

「それを言うならヨシノブの方だろ、神様の神気に当てられ魂を落としたんじゃないか?」

「大丈夫、ちゃんと魂は入ってるし命もある。」

「それならなんで動かない?」

俺とリョウが不思議そうに眺めていると・・・


「お、お前らにとってこの車は普通なのか?」

「この車?」

「あーたしかに立派だよね。」

俺はミツヒラが何故固まっているか理解出来た、慣れない高級車に乗り緊張しているのだ。


「ミツヒラ、大丈夫だって、この車にいくら傷つけてもリョウが責任を取るだけだからな。」

「お前、傷はつけるなよ!」

「何を言ってる、車より高級な者を傷物にするくせに。」

「生々しい言い方は止めろ。」

「失礼〜」

「もう少し申し訳無さそうに言え!」

「でもなぁ〜本人は喜びそうだし・・・

いっそ傷物にしてみる?」

「ヨシノブ、やめろよ、高級車を傷つけようとするなよ。」

「まあ、やらないけど・・・えっ、なに?」

俺は源グループ社員の方から耳打ちされる。


「どうやら、アズサさんの味方をしてくれるなら廃車にしても良いそうだよ。」

「お前またそんな事言ってるとミウに怒られるぞ。」

「うーん、ミウちゃんには悪いけどウチはアズサさんにお世話になってるからなぁ・・・

まあハーレムに協力するよ。

今からでも日本の法律変えちゃう?」

「・・・すでに元康さんが法律を変えようとしてる。

冗談でもお前が発言するなよ。」

「・・・まじ?」

「マジだ、お前の言葉は影響力あるからな公的な場所での発言は気をつけろよ。」

「良いこと聞いたな、今度神テレビで発言しておくよ。」

「公式な場所での発言に気をつけろと言ったよな!」

「だからだよ、アズサさんの目指すハーレムには必要な法律だろ?」

「お前が喋るとややこしくなるんだよ!

せめて元康さんに任せておけよ!」

「援護射撃は歓迎してくれるそうだよ。」

俺の味方には源グループ社員がついていた。


「なんでこんな時は味方してくれないんだよ!」

「そりゃ大事な姫様の話だしね。

いっそ結婚してしまえば・・・」

「年齢わかって言ってるよな?」

「十六から結婚できるだろ?

もう少し下げるようにアマテラスさんにお願いしようか?」

「頼むところが違うからな!」

「日本の事はアマテラスさんにお願いする、何も間違いじゃないよ。」

「間違いじゃなくても間違ってる!いきなり頼んじゃ駄目な所に突撃してるからな!」

「そうかな?えーと、お母さんに相談することは間違いじゃないはず。」

「お前は普段お母さんなんて言わないくせにこんな時ばかり・・・」

「お前を苦しめる為なら俺は矜持を捨てる!」

「捨てるな!」


「・・・二人とも、話の内容が空の上過ぎて頭に入ってこない、法律を変える?アマテラス様に直接お願いする?」

「あーミツヒラ、大丈夫だ、じきに慣れる。」

「不満があれば世界を変えるべきだろ?」

「ヨシノブ、お前がいうと本当に変革されるから発言には気をつけるように。」

実際話しているだけでやる気は無いのだが、ミツヒラにはまだ俺達の冗談ラインが見えていないようで車内では固まっていたのだった。

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