第1335話 飲み会

「さて、ミツヒラの転職祝いだ、何処かに飲みに行こうぜ。」

「いいな、男同士で飲むのもいいだろ。」

俺の提案にリョウも同意するのだが・・・

「おい、勝手に決めるなよ、そもそも既婚者の俺にそんな金は無いぞ。」

ミツヒラは妻に財布を握られ、飲み代すら許可制だった。


「飲み代ぐらいいいって、此処には財閥のヒモがいるんだからな。」

「何を言ってる、拝められる神様がいるんだ金に問題あるわけ無いだろ。」

俺とリョウの視線が交差する。

「二人とも争うなよ。」

俺達の関係に慣れていないミツヒラが止めてくるので俺達も大人気ない争いは一応止める。


「まあいいや、今回は折半で行くぞ。」

「それが落とし所だな、それで何処で飲む?」

「折角だからなミツヒラに高い酒を飲ませてみたい。」

「そりゃいいな、セレブを味わわせるか!」

「いいねぇ〜リョウ良い店知らないか?」

「田舎にはあまり無いし、今から都市圏に向かうと時間がな・・・」

「距離なんて気にするなよ、なんの為にチカラがあると思ってんだ、近場の神社に向かえば一瞬だよ。」

「そうだな、それなら名古屋の店にするか?

あの辺りなら俺の顔が効くから。」

「了解、熱田神宮でいいか?」

「ちょっと待てよ、連絡するから。」

俺とリョウはサッと準備を整えていく。


「おい、二人とも何を言ってんだ?」

「なに、少し飲みに行くだけだよ、お前は嫁さんに連絡しとけよ。」

「まあ、美味い酒が飲めそうだし・・・」

ミツヒラは会話の中身についていけていないが妻のユリに電話をかけていた。


「ちょっと、ヨシノブ達と飲みに行ってくるよ。」

「ヨシノブさんと!いいけどお小遣い足りないんじゃ・・・」

「二人の奢りらしい、遅くなるかもしれないから先に寝ておいてくれ。」

「それはいいけど、失礼の無いようにするんだよ。」

「わかってるって、そもそも友人だから大丈夫。」

「それなら良いけどね。」

ミツヒラは思いの外簡単に了承を得た事に安堵するのだった。


「嫁さんの許可が出たぞ、飲みに行ける♪」

「苦労してるんだな。」

「ヨシノブよく見ておけよ、これが妻帯者の普通だからな、お前みたいに嫁も子もいるのにフラフラ世界を出歩くなんて早々いないからな。」

「リョウその言葉はすぐに返す事になるぞ、どうせお前もこっち側だからな。」

「俺はまだ独身者だからな、お前らの世界は知らないなぁ〜」

「まあいいさ、今だけ言わせておいてやる。

それよりさっさと名古屋に行くぞ、店の手配はできたか?」

「問題無い、源グループ推薦の店を用意した。」

「よしそれは楽しみだ、行くぞミツヒラ。」

「えっ、ちょ、名古屋?名古屋って名古屋?」

「何を言ってる、名古屋は愛知の名古屋に決まってるだろ?

いや、決まって無いかもう一つ名護屋はあるけど・・・

まあ飲みに行くなら名古屋だな。」

「名古屋、名古屋うるさい、さっさと行くぞ。」

俺が開いた転移門にミツヒラを担いで入っていく。


「おい、なんだ、これは?おい、説明を頼む!!」

ミツヒラの叫びを無視して俺達は転移するのだった。

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