第1334話 不信感
「キングダム陛下、よろしいのですか?」
「なんの話だ?」
「神を名乗る者達の行為です、今や町を作り我が物顔で席巻しております、このままでは国を乗っ取られてしまうのではありませんか?」
「たしかにその懸念はある。」
「ならばまだ町を作りきらぬ前に!」
「口を閉じなさい、あの者達は我々を立て、作った町はラニアン王国に属し法律、納税もしかと行うと言ってきている、ムリに争う必要など無い。」
「ですが・・・」
「それにだ、向こうが王位を求めるなら、私は渡しても構わないと思っている。」
「陛下!何を仰るのですか!」
「あの者達は世界を救うことが出来るのだ、頭を垂れることに私は抵抗など無い。
あの者達こそ救世主と言うのであろうな。」
「陛下は国難と対峙し、気弱になられているだけにございます。」
「いや、私は別に気弱な訳では無い、現実を見ているだけだ。
だが、向こうは王位を渡せとも、王族の姫との婚姻も求めてきておらん。
たぶんではあるが国というものに興味が無いのだろう、ならば無理に争いを起こす気にはなれない。」
キングダムの下には日々報告が上がってきている、考えられない早さでの町の建設から始まり、街道の整備、周辺の魔物の駆逐まで目まぐるしい報告がある。
自分達は到底出来ない事を次々と行っていくヘルマン達の様子にキングダムは抵抗する意欲を失っていた、求められるならその日のうちにでも王位を渡した事だろう・・・
「くそっ!また落ちたぞ!再起動を急げ!」
パスは未だまともに起動しないシステムに辟易していた。
「パス様、信仰心の集まりが低下しております。」
「システムがこの有り様だからな、皆には今暫し苦しい日々になると思うが耐えてくれ。」
「・・・パス様、オルデン様はいつお戻りになられるのですか?」
「・・・オルデン様は皆を守る為に敵の攻撃を正面からお受けになられ多大な怪我をなされたのだ、まだ療養が必要な時なのだ。」
「それでもこの社に戻って療養するべきでは無いのですか?」
「此処に戻ると職務が気になるだろうし、皆も頼ってしまうだろう。
今は心労をかける時ではないのだ。」
「しかし!
・・・いえ、失礼な事を申しました。」
パスに意見した者はモンドという若手でも優秀な者であり、側近として急成長していたのだが、優秀だったからこそ、オルデン不在に疑問を抱くようになっていた。
「そもそも何故別世界から我々が侵攻されたのだ、それに理由無き侵攻は条約によって禁止されているのに何故罰が降らない、何か事情があるのか・・・」
モンドは独自に原因について調査を始める、その結果がオルデンに繋がるとはこの時は考えてもいなかった・・・
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