第1333話 町を作る

俺が不在でもルシィラへの侵攻は止まることは無い。

終わりゆく世界との事もあり、救いを求める者は後を絶たない。

「おとうさんを崇拝する者の為に町を作り、そこで管理したほうがいいな。」

そこでヘルマンは各地に新たな町の建設を行っていた。

表立って争いを起こす事は控え、一応ラニアン王国の所属という形での町の建設である。

国としての大きな反対は無かった。


その建設された町の一つ、コイヌスキーが中心となり建設を進めた町にはポメと名付けられていた。

「この町は慈愛に溢れるポメ様の手により救われるのだ!よってこの町にの名はその偉大な名を頂きポメとする!

この町に住む者はポメ様に感謝し日々を過ごすのだ。」

コイヌスキーの宣言とともに新たに生まれた町は活動を開始する。


「ワンスキーよ、お前がこの町を導くのだ!」

コイヌスキーの甥であり、その若さの為に騎士団に所属こそしていないものの、すでに訓練を開始していたワンスキーに町の管理を任せる事にしていた。

「はっ!叔父上、ポメ様の偉大さを後世に伝えるべく、我が身を捧げようと思います。」

「うむ、重要な役目だぞ、ここはマインズ王国からも遠い、すぐに救援に駆けつけれる訳では無い。

だが苦難もお前の信仰心なら任せられると信じている。」

「当然であります!この町を任されるにあたりポメ様からも激励のお言葉を頂きました!

しかもこのような国宝までこの不肖の身に授けてくださりました。」

ワンスキーは首輪を見せる、それはポメが好んでつけていた首輪であり、頑張ってくれるワンスキーに自分の好きな物なら喜んでくれると思ったポメからの感謝の気持ちであった。


「それは!!

ワンスキー!そのような物はお前にはまだ早い、叔父である私が預かろう。」

「いえ、これはポメ様から直々に授けられた宝物にございます、遠い地においてポメ様を忘れぬようにとの格別の配慮と心得ております。」

「ぬっ!!

言うようになったな、良かろう。

ならばその宝物に恥じぬ忠誠と力量を見せよ!

不甲斐無い真似をすればいつでも交代する者はいるのだからな。」

第5騎士団の全員の視線がポメから授かった首輪に集中している、隙を見せれば奪われかねない、そんな状況でもあった。


「必ずや、お役目を真っ当してみせます!」

ワンスキーは堂々と宣言するのだが・・・


「ワンスキー、お前の実力は足りぬのではないか?」

「悪い事は言わない、俺と代われ。

お前はまだチカラに目覚めていないだろ、ここはチカラに目覚めた者が守るべきだ。」

「大丈夫です、第五騎士団の方々心配する必要はございません、この首輪とともにこの地を守護してみせましょう。」

迷いの無い言葉を返しながら、首輪を見せ付けるのであった。

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