第1332話 問題児

「そんなに面倒臭いの?」

俺はリョウにきいてみる。

「そりゃそうだろ、他に類を見ない物の輸入だからな、各所で検査の必要もあるし、値段とかも適正に考えなくてはいけないし、そもそも量も無いから奪い合いが起きないように考慮する必要もある。

場合によっては他国が乗り出してくるからな。」


「へぇ〜そうなんだぁ〜」

「そうなんだぁ〜じゃねえよ、少しはお前も日本の混乱を考えて行動しろよ。」

「ほ〜い。」

「軽いな!まったく考えて行動するようには思えない返事だ。」

「苦労するのがお前なら問題無い。」

「実質苦労するのは俺じゃ無くて源グループ社員だから!」

リョウをからかうように返事はしているが源グループ社員に迷惑をかける訳にはいかない、自重は大事だと思うのであった。


「それでだ、ミツヒラくん。

俺の苦労を減らす為にも転職してみないか?」

「さっきはしたいならって言って無かったか?」

「この馬鹿を止めれる奴は多いほうがいい。

お前ならこいつの頭を叩けるだろ?」

「さすがに神になったヨシノブを叩いていいかは悩むぞ。」

「神になったって大差無い、こいつはこいつだ、間違えたら叩いて直すしか無いんだ。」

「ナルホド、それは叩く必要があるな。」

「ミツヒラ、何を納得している、昭和の機械じゃあるまいし叩かなくても直るぞ。」

俺の反論に二人からは冷たい視線が飛んでくる。


「ヨシノブは思いつきで行動するからな、周りが止めないと駄目なんだ。」

「ミツヒラわかってるな、昔は思いついた所で怪しい団体に説教に行くぐらいだったが、今のこいつは神になりやがった、何処で何をしでかすかわかったもんじゃ無い。」

「わかってる、あの時は友人総出で大変な事になったんだからな。」

ミツヒラも昔を思い出したのか少し使命感を感じているように見える。


「待って、あれは騙された人を助ける為に行っただけで・・・」

「普通は行かないからな、しかもその結果監禁されるってどういう事だ。」

俺がアワアワと言い訳しようとするのだが、状況を理解している友人達にはまったく通用しない。

その上、助け出されたのでぐうの音も出ないのであった。


「監禁されるなんて思わないじゃん。」

「少しは考えろよ、あの時はミツヒラがたまたま施設に入って行く所を見ていたから発見できたが、手遅れになる時もあるんだぞ。」

「あれは驚いたよ、ヤバそうな施設に正面から乗り込んで行くんだからな、慌ててリョウに相談したよ。」

「・・・まあ、生きていたらそんな事もあるよね。」

「普通は無い。」

「リョウならあるだろ?」

「うちは普通の家じゃないからな。」

「そうだった・・・」


「リョウは相変わらず苦労してるんだな。」

「わかってくれたか。」

「じゃあ、転職は断る。」

「なんでだミツヒラ!!」

「当たり前だ、神になった奴のお守りなんてやばすぎだろ!

俺は一般人なんだ!!」

「ヨシノブの関係者というだけで一般人な訳無いだろ!覚悟を決めろよ!」

「やだ。」

「やだじゃねぇ!!」


俺を置いてリョウとミツヒラの口論が始まる。

「・・・俺の為に争わないで!!」

「「やかましい!!」」

二人の拳がふざけた俺の頭に落ちるのであった・・・

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