第1331話 友人に会いに
俺は久々に日本に来ていた。
「ミツヒラ、俺に用事って聞いたけど、なに?釣りの誘い?」
「釣りはまた今度だな、実は・・・」
「ああ、遂に奥さんに捨てられたのか?お前が負けるようにいい弁護士紹介するよ。」
「それは悪い弁護士だ!!
そもそも捨てられてないから!」
「冗談だって、それでなんかあった?」
「・・・すまん、会社命令だから断ってくれても構わないんだが、お前の国、アリアから食品の輸入は出来ないか?」
「なんだ、仕事の話か。
うーん、友達だから融通したいんだけど、仕事で輸入となると流石にどうなんだろう。」
現在日本では源グループの独占販売状態である、ただそれもかなり品薄であり、収穫出来る前から出荷先が決まっているのである。
「やっぱり無理か、いやそれならいいんだ。
俺も会社から聞くだけ聞いてくれって煩く言われててな。」
「板挟みって辛いよな〜」
「まあな、でもそれがサラリーマンだしな、給料貰っている以上やるしか無い。」
「それじゃ、もし会社で居心地が悪くなるようなら連絡くれよ、転職先なら用意しておくから。」
「へっ?転職?」
「ああ、お前なら何処かに紹介しても良いと思うし、源グループでも、アリアの何処かの部署でもいいしな。
あー、お子さん達の学校も考えたら地元が良いよな。」
「いやいや、悪いだろ。
源グループなんて言ったら一流企業じゃないか、俺の頭じゃ厳しいよ。」
「リョウでも役員やってるんだ、大丈夫だ。」
「リョウは充分変人レベルの天才だからな、それにあいつは婿養子だろ、役員なんて肩書きだけで働いてないって聞くぞ。」
「まあ、子作りがアイツの仕事だからな。」
「それは流石にリョウに怒られるぞ。」
俺の冗談半分の言葉にミツヒラは苦笑いを浮かべながら否定する。
するとそこで扉が開く。
「そうだ、子作りが仕事なのはお前だろヨシノブ。」
「あれリョウ、来ていたの?」
「お前が日本に急に来たから何かトラブルが起きるんじゃ無いかと思って来てみれば・・・
おい種馬、さっさと種付してこいよ。」
「誰が種馬だ!」
「お前だろ、聞いてるぞ、サリナさんに3日間解放されなかったんだってな。」
「・・・お前、誰からそんな話を!」
「シモちゃんが嬉しそうに話していたぞ、ハルくん相手に弟と妹がたくさんできるのよ〜って説明してたな。」
「・・・」
「ヨシノブ、シモちゃんってあの小さい子だろ?あんな子に話す内容じゃ無いだろ?」
ミツヒラはちょっと引き気味に話すのだが・・・
「俺は言ってないからな、誰かがオブラートに包んで説明したんだと・・・思う。」
少し自信は無いがそうであって欲しいという願望込みである。
「まあ種牡馬の事情はどうでも良いとして、ミツヒラ転職するのか?」
「いやいや、いきなりはする気は無いって。」
「まあ、したいなら受け入れるさ。
地元に残るなら支社になるけど、ヨシノブとの交渉が出来る奴はいくら居てもいいからな。」
「交渉?いや俺は今断られた所だぞ。」
「いやこいつを呼び出せる事事態が成功だよ、あとは条件次第になるけど、お前の会社何が出せるか提示出来ないだろ?」
「・・・まあ、対価が金銭でいいかすらわかってないな。」
「だろ?小さい所じゃ扱いきれない商品だ、それに輸入になるけど特別な処置もいるし、現実問題として源グループか西園寺グループのどちらかぐらいしか日本では取り扱えないと思う。」
「そんな商品だったのか・・・」
「まあ、簡単に儲かる話じゃないな、利益も大きいけど面倒臭いところも多い。」
ミツヒラは自分の見当の甘さを実感していた。
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