第1329話 オルデン教の嘆願

「キングダム陛下、ヨシノブ教の布教が止まりません、このままだとオルデン教は遠からず無くなってしまいます、どうか陛下の御威光を持ってオルデン教を救っていただけませんか。」

モンデンはなすすべが無い為にキングダムに縋り付く事になっていた、現在オルデン教の教徒の多くは痩せ細り、以前からある半分腐ったような食べ物を細々食べて命を繋いでいる状態であり、最高司祭であるモンデンですら以前の恰幅の良さを失い、痩せ細っていた・・・


「モンデン、ヨシノブ教が無ければ国民は死に絶えてしまう、お前達の姿を見るにオルデン教は神に見捨てられたのであろう。

せめてもの慈悲である、私の命令としてヨシノブ様に感謝し食を頂くが良い。」

「なっ!私に別の神を崇めろと言うのですか?」

「感謝の言葉を述べるだけでパンと水は手に入る、オルデン教は貰った物に感謝もできぬというのか?」

「頂いた物に感謝は致します、ですがそれがオルデン様の地位を脅かすような神なら別の話です!」

「・・・モンデン、意地を張るな。

最高司祭のお主が感謝を述べれば他の者達も感謝する事は出来るだろう、お主の矜持に教徒全てを巻き込むな。」

「お話になりません、オルデン様は我々の行いを見ているのです、陛下がそのようなお考えだからこそ、この苦難が発生しているのです!

陛下は食を与えられることの恐ろしさをわかっていないのです!

見てください、大地は死に、水は腐っていってるのです、与えられる物に満足すればいずれヨシノブ教に支配されてしまいます!」

「ヨシノブ教は大地を蘇らせてくれたし、水すらもとに戻してくれている、作物を収穫するのはまだ先になるが既に状況は改善されているのだ、オルデン教を捨てずとも感謝だけして生きながらえるべきであろう。」

「くっ!陛下は既にヨシノブ教徒に洗脳されてしまったのか!」

「私とて飢えるつもりは無い、今更腐った物を食べるなどしたくも無い。

モンデンよ、今日この時よりオルデン教は禁止とする。」

「なっ、禁止ですと!陛下は何をお考えになられている!」

「ヨシノブ教と争う訳にはいかない以上、ヨシノブ教と敵対しているオルデン教をいつまでも認めている訳にはいかない、ましてやお主のように他者に感謝一つできないような宗教は危険すぎる。」

「感謝も何も相手は邪神ですぞ!」

「邪神?何を言う救いの神であろう、オルデンに捨てられた世界を救いに来てくれたのだ。

今後はオルデン教の布教及び教会としての活動を禁止とする。

誰かモンデンを外に連れ出せ、今後オルデン教は城に入る事を認めない。」

「陛下!お考え直しを!このままだとオルデン様の天罰が下りますぞ!!」

モンデンは連れて行かれその声は次第に聞こえなくなる。


「天罰か・・・

今の状況こそ天罰であろう、まったくオルデン教は何をしたんだ。

・・・マッシュ、オルデン教会を強制調査しろ、神に見放された理由があるやもしれん。」

キングダムはモンデンの天罰という言葉にオルデン教が何かしていたのでは無いかと邪推するのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る