第1326話 祈るかどうか
「陛下、あの者達の言葉を信じるのですか?」
「我が国の窮地につけ込む輩ですぞ!
信じるに値しない!」
キングダム達は城に帰ると態度を豹変し、先程までの従順な姿から一変口々にポメをはじめコイヌスキー達を批難する。
「わかっている、だがあの者達がこの状況を改善出来る可能性がある以上、しばらくはあの者達の話に合わせても良かろう。」
「なるほど、陛下はあの者達を利用しようと言うのですな。」
「そうだ、今は未曾有の危機である、どのような手段であれ助かるなら取るべきであろう。
マッシュ、教会には暫し目を瞑るように伝えよ。」
「教会が良しと言いますか?」
「良しと言わぬなら、今すぐこの状況をなんとかしてみせろと言うのだ。
このままだと遠からず国民全員が死んでしまうのだ。」
キングダムにとって最優先すべきは国民が生きることなのだ、祈る神を変えて生き残る事が出来るのならそれでも良いと考えていた。
だが、教会としては受け入れ難いものであった・・・
「キングダム国王は何を考えているのだ、主神オルデン様に対する裏切りだと思わないのか。」
オルデン教、最高司祭である、モンデンはキングダムの通達に嘆く。
「モンデン様、しかし、我らの祈りは届いておりません、このままだと多くの国民が命の危機になることに・・・」
「これは神の試練なのだ、敬虔にオルデン様を祈ることで救いの道は示される、教徒にはキングダム国王に惑わされる事のないように知らせよ。」
「しかし、キングダム国王陛下の通達を無視して大丈夫でしょうか?」
「キングダム国王とて一時的な物と書いてある、我等が積極的に協力する必要など無い。」
モンデンは最高司祭として通達を出し、多くの教徒はそれに従うのだが・・・
「パンの配布です、受け取る時にヨシノブ様に祈りを捧げてください。」
「飲み水はこっちですよ、ヨシノブ様に感謝の言葉を述べてから受け取ってください。」
子供達は配る前に祈りを強制する、最低限の食料品なら簡単な祈りを、オカズになる一品なら改宗を、甘い物など嗜好品を受け取るには自宅に祭壇を作る必要があった。
「お前達、オルデン様に恥ずかしいと思わないのか!」
受取りに来ている人々にオルデン教の教徒は罵声を浴びせるのだが・・・
「そんな事言ってもお前達何も食べれてないんだろ?感謝の言葉だけで命を繋げれるんだ、悪いことは言わないからヨシノブ様を祈れよ。」
ヨシノブを祈り初めた者達は既に食にありつけ、少しずつだが体調を元に戻している、だがオルデン教の教徒達は見るからに痩せ細っており、どれだけ罵声をかけてきても哀れにしか思えなかったのだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます