第1324話 異世界侵攻
「この地に祝福をもたらしに来た!
すみやかに幸福しろ!」
第五騎士団もといポメ騎士団は、異世界の国、王都ラニアンの城門前に降伏の使者を出していた。
「あの軍勢はどこから現れたのだ!」
ラニアン王、キングダムは何処からともなく現れた軍勢に驚きを隠せない、現在ラニアン王国では突如水が腐り、作物が枯れるといった不可思議な現象に頭を悩ませている最中であり、多くの人達を救う為に備蓄を放出、到底戦を出来る状態ではなかった。
「陛下、あれが何処の者かは置いておきましょう、今考えるべきはどう対処するかです。
残念ながらこの城には籠城する兵糧も無ければ戦をする余裕すら無いのです。」
「わかっている!それであいつらの要求は何なんだ?」
「それが・・・」
「どうした?」
「オルデン教の廃止、及び信仰する事すら認めないとのことです。」
「オルデン教はこの国教なのだぞ、その廃止の為に軍を差し向けているのか?」
「そのようにございます、ただ廃止する代わりに世界を救うことが可能だと言っております。」
「世界を救う?これはまた大きく出たな。」
「いえ、馬鹿に出来ないのです、対応した騎士が直接見たのですが、腐りきった水を浄化し、飲めるようにしたとか・・・」
「なんだと!そのような事が出来るのか!」
「騎士の見た話でございます。」
キングダムは考える、水を浄化する話が本当なら国民を救う事が出来るかも知れない。
「良かろう、私が直接確認する。」
「なりません!陛下が直接見に行くなど危険過ぎます!」
「どうせ戦も籠城も出来んのだ、今更危害を加えられた所で相手を貶める事になるだけだろう。」
「陛下!」
「なに、交渉してくるぐらいだ、落とし所の一つでもあるだろう。
誰か馬をひけ!」
キングダムは周囲が止める事も気にせず城門前で待つコイヌスキーのところまでやってくる。
「私がこの国の王、キングダムである、貴殿らは世界を救う事が出来ると言っているそうだが、それは誠か!」
「当然だ。
最高にして最上の女神ポメ様が降臨なされているのだ!出来ぬ事など無い!」
「コイヌスキーさん、ポメできないことあるのです。」
「ポメ様ができないことは他の者にもできませぬ、ご安心ください。」
コイヌスキーはポメに優しい言葉をかけつつもキングダムを威圧する事は忘れていない。
「にわかに信じれぬ話だ。
だが、世界を救う女神と言うなら、この地を救う所を見せてもらいたい!
今、そこを流れる川を浄化出来るか!」
「わふぅ、川さんは流れるから元から浄化しないとあまり意味ないのです。」
「出来ぬと言うのか!」
「わふぅ、得意じゃないけど出来るのです、ただすぐに腐った水が流れてくると言ってるのです、暫くでいいなら出来るのです。
わふぅ〜おとうさんポメは娘として頑張ってるのです、あとで褒めてもらうのですぅ〜〜〜」
ポメが神威を川に向かい放つと異臭がしていた川は目で見てわかるほどに澄む。
「なっ!!」
キングダムはその光景に目を丸くする。
「わふぅ、やっぱり流されるのです、川はまだ駄目なのです、湖とかじゃ駄目なのです?」
浄化された水は川の流れにのり下流へと流されていく。
だが起きた事実は変わらない、キングダムはポメに救いを見たのであった。
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