第1319話 タカミムスビ
「おとうさんが些事に関わる事はありませんから。
タカミムスビ様、納品はこちらにお願いします。」
「わかっているよヘルマンくん、ただね天照の末の息子を見に来るぐらい良いじゃないか。」
「おとうさんは主神としての勉強中なんです、今必要なのは私達を導く為の神格の向上であり、神威を増す事に集中してもらう必要があるんです。
誰でも出来るような機械操作は僕達が行いますから。」
「これ、誰でも出来るような事じゃないんだよ?
君はわかっているのかな?」
「些事です。」
ヘルマンの回答にタカミムスビは苦笑いをしているが・・・
「あの、タカミムスビさんと言えば造化三神の一柱だったような気がするのですけど・・・」
造化三神といえば天地開闢の時におられた神であり、イザナミ、イザナギ達の神世七代の前、アマテラスの天津神からすると前の前になる。
俺からすると更に・・・
「そうだよヨシノブくん、今頃気付いたのかい?」
「失礼しました、まさか商品を配達していらっしゃる人がタカミムスビさんだったとは思いもしませんでした。」
「普段はやらないけどね、ちょっと見に来たんだ。」
「いつでもお越しください、すぐにお茶を準備します。」
俺が目配せをするとすでにカルラがお茶の準備をすませていた。
「おっ、カルラちゃんは気が利くね。
これならいつでもお嫁に行けるね。」
「タカミムスビ様、私はずっとおとうさんの所にいますのでお嫁に行く気はありませんよ。」
「ははは、これがファザコンというやつなのかね、ヨシノブくんどう思う?」
「カルラはまだ子供ですので、親元が良いと言っているだけかと。
それより子供達と親しいような気がするのですが?」
「時々、会うことがあるからね。」
「えっ?」
「君の子供達は装置の使い方を学ぶためにオモイカネを通して僕の下に学びに来るぐらい熱心な子供達だ。」
「これはご迷惑をおかけしました。」
「いやいや、私も熱心に学びたい者は好きだからね、今や私にとっても可愛い弟子のような者だよ。」
「そう言ってもらえて光栄です。」
俺が敬々しく話している中、タカミムスビはヘルマンに話しかける。
「ヘルマンくん、使い方はわかるね。」
「はい、問題ありません。
仕様書を確認しましたが、前の機械より処理速度が13%上がっているんですね。」
「そうなんだよ、新素材を使うことで神威の通りが良くなった分、速度が上がったんだ。」
「それだけじゃ無いですね、冷却装置も改造されて長時間の高負荷対応時間ものびてますよね?」
「わかる?ここは僕も今回特にこだわったとこなんだ、昨今高負荷のかかる事が増えているからね、この冷却装置は新たな新機軸になるはずだ。」
「ええ、これなら急激な変動にも耐えれますね、現在使っている分も更新できませんか?」
「あれもまだハイスペックモデルだよ?」
「しかし、これを見るとどうしても見劣りしますから。」
「なら、一部改造しようか、冷却装置をやり変えるだけでまだまだ使えるはずだよ。」
「そうですか、なら部品の発注をお願いします。」
「既存の部品は無いから特注になるけど?」
「大体の部分は僕達で作りますから冷却装置だけ頂けたら。」
「了解したよ、まったく出来の良い弟子は稼がせてくれないよ。」
「タカミムスビ様の特注なんて幾らになるかわかったものではありませんから。」
二人の会話は技術者として会話をしており、俺はおいていかれていたのだった。
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