第1317話 前途多難な神界運営

「よくやったヤーヤ、これで我が社も助かるな。」

「しかし、よろしかったんですか?

オルデン様はアーア様の先輩とお聞きしました、このような手段を取らなくとも借入れる事は可能だったのでは?」

「ヤーヤ、何を言っている、借入れるということは返さなければならないのだぞ、今の我が社に返す余力があると思うか?」

アーアの言葉通り、カルラ達の精力的な活動によりアーアの世界ではかなり信仰心が無くなってしまっている、かと言って持国天すら失敗してしまう状況である、簡単に信仰心を取り返す事は出来ない。

だが、負債は待ってはくれないのだ、消耗する経費に頭を悩ませる日々に嘆いていたがそれも今日で終わったのだ、これからは多額の収入が入ってくる。


「ヤーヤ、当然だがこの事は誰に話すことも許されん。

絶対に秘密にしろ。」

「わかっています、こんな真似をしたことがバレたら俺は神々から永劫に分解される呪いにかけられるかも知れない。」

「わかっているなら構わない、大丈夫だ。

あのシステムは絶対にバレないし、調べようとしたら痕跡も残さずに消失するよう作ってある。

お前が外で話さぬ限りバレることは無い。」

「ええ、絶対に話しません。」

ヤーヤはこの秘密を守り切ることを誓う、さもなくば家族諸共どんな目に合うかわかったものでは無かった・・・


「信仰心の集まりが悪いな・・・」

パスは信仰心の集まり具合に疑念を抱くのだが・・・

「パス、それもこれも城が破壊されたせいではないのか?」

同僚のマルマンの言葉に納得してしまう。


「たしかにこれ程の破壊を受けたことは無いからな地上への影響も出ているのだろう。

くそっ、環境管理システムも買わないと駄目だな。」

現在地上のモニタリングも出来なければ、自動で環境を調整することが出来ていない、全て手動で管理しており、担当する神への負担が大きい、早く導入しなければ担当者が倒れ兼ねない。

パスは必要と思われる設備の購入を検討するのだが・・・


「やはり天津製は販売してくれないか。」

性能が良く、耐久性も高い天津製品を購入しようと見積もりを出したのだがパス達ルシィラが取引相手と知ると販売を拒否される始末であった。

「仕方無い、他で探すしか無いか。」

パスは各地に購入依頼を出すがヨシノブと争った事によりアマテラスと敵対関係になったとみなされ、アマテラスとの関係を考えた所は取引どころか話すら聞いてくれない。


「パス先輩、お困りのようですね。」

「アーアか・・・

まあな、今回の件はこちらに非が有り過ぎる、せめて和解・・・謝罪をしなければ向こうも鉾を下ろしてくれないだろう。」

「でもオルデン先輩はまだやる気ですよね?」

「そうだ、恨みは忘れんと息巻いている、はぁどうしたら良いものか・・・」

パスの気苦労が積み重なっていく。


「それならウチの製品を設置しましょう。」

「アーアの製品か、悪いがお前の所はスペックが低いからな・・・」

「それは昔の話です、このカタログを見てください、天津製品に負けないスペックをこの低価格で販売しているんです。」

「安いな、なんでこんな値段で販売できる?」

「天津製品はブランドですのでその分高くなっているんです、ウチはその分安く作り上げているんです。

そして、先輩達だからこそ、無利子で資金をお貸ししてその資金で取付けを行いましょう。」

「無利子でいいのか?」

「特別です、先輩達なら踏み倒されることはありませんでしょう。

ただ、こちらの借用書にサインを。」

「持つべき者は良き後輩だな、悪い少しばかり世話になる。」

パスは借用書にサインするのだった。

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