第1313話 娘さんをください
「ヨシノブさん、よくお越しくださいました、サタナスを始め、皆も歓迎しておりますよ。」
「リリスさん、ご無沙汰しています。」
謁見の間にリリスが現れたので俺は挨拶をする。
「ふふ、これからは義理とはいえ親子になるのですからもっと来てくれても良いのですよ。」
「ご挨拶が遅れて申し訳ない、本日来たのはクラルさんを妻に迎えたいと思い参りました。」
「わかっています。
クラルよくやりましたね。」
「お母様、お認めくださってありがとうございます。」
「貴女の取った行動は魔族の未来に道を作りました、母として誇らしく思いますよ。
あとはちゃんと子を成すのです。」
「わかっています、わ、私も頑張りたいと思います。」
クラルは顔を真っ赤にしながら答える。
「あのリリスさん、反対されなくて良かったのですけど、お預かりした娘さんを嫁にしようとするのですよ、少しぐらい何か言われる覚悟をしていたのですが?」
「あら?私はクラルを送り出した時から、嫁いだものと考えておりますよ。
まあ当時はヨシノブさんがここまでお強いとは思いませんでしたが、今は魔族の誰にも負けないチカラをお持ちでしょう。」
「えっ、あの時からですか?」
「ええ、王家の年頃の娘を男のもとに送り出すのです、その覚悟無くして行いませんよ。」
「どうやら私の考えが足りなかったようですね。」
「そのお陰でクラルが嫁にいけたのですから、私としては歓迎するものです。
さて二人の祝福に謁見の間は型苦し過ぎます、別室に祝賀の宴を用意しています。
参りましょう。」
リリスは俺を連れて別室に・・・
「母上、待ってください!」
置いていかれそうになるサタナスは慌てて追いかけてくるのだった。
「サタナス、何をグズグズしているのです、そんな事だから優秀な伴侶をクラルに取られるのですよ。」
「私はヨシノブの事は別に狙っていない・・・」
「まったく、ヨシノブさんのチカラも気付かないなんて魔王としてどうなんですか。」
「そんな、前に来た時は弱々した男だったはず。」
「その傘下にあるチカラを理解出来ていないのが間違いなのです。
今後は魔族を率いる王として相手のチカラを理解するように努めなさい。」
「お母様、私もヨシノブさんのチカラを知って嫁いだ訳では無いのです、あまりお姉様に強く言わなくても。」
「クラル、私はサタナスに魔王としてあるべき事を教えているのです。
今、擁護する必要はありません。」
リリスに言われクラルは身をすくめる。
同じようにサタナスも身をすくめていた。
これを見るに魔王領内で誰が一番の権力者かははっきりしていた。
「ヨシノブさん。」
「はい!」
「末永くクラルをよろしくお願いしますね。」
リリスの言葉は母として魔族の代表として重い言葉であった。
「はい、大事にします。
リリスさんも困った事があればお知らせください、家族として出来る限りの事はやらせてもらいます。」
「あら、私も立派な息子を手に入れたということなのね。
クラルには感謝しなきゃ。」
俺は本能的に勝てない相手が一人増えたなぁ〜と思うのであった。
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