第1312話 謁見
「ヨ、ヨシノブ、よくぞここまで来たな。」
何故かサタナスが震えながら出迎えてくれる。
「サタナスさん、どうしました?」
「な、なんのことだ?」
「いや、なんで震えているんですか?」
「わ、わからんのか、お主から感じる威圧、以前とは比べ物にならん。
何を怒っているのか知らんがまずは抑えてくれないか。」
「怒って無いけど・・・神威のことかな?」
俺は神威を可能な限り抑える。
「ふぅ、威圧を抑えてくれたか。」
「威圧も何も、したつもりは無いんだけどな。」
「充分にしておったぞ、気づくことすら出来ぬ弱者なら兎も角、ある程度相手をはかれる腕の者ならヨシノブの威圧に萎縮した事だろう。」
サタナスの言葉に周囲を見ると以前とは違い俺に恐れを抱いている者が複数いるように感じる。
「前に来た時よりは強くなったという事なのかな。」
「強くなりすぎだ、まったくお主の子供達といい成長著しい。」
「バルバの事?俺も此処に来て初めて知ったんだけど、本当に強くなったみたいなんだよね。」
「あれほどの腕前になっているのに知らなかったのか?」
「バルバが訓練しているのは知ってたけど、大会に出たりしてることは知らなかったんだ。」
「ヨシノブは魔族領に来ないからな、バルバはこの数ヶ月、魔族の武闘会のスターだ。」
「そうなんだ、バルバ頑張っているんだな。」
俺は隣に控えるバルバの頭を撫でる。
「おとうさん、ありがとうございます。」
バルバは嬉しそうにしていた。
「・・・さてとサタナスさん、本日こちらに来たのは少しお話がありまして、リリスさんも交えて話すことは出来ませんか?」
「クラルの事であろう、わかっておる。
母リリスもヨシノブとの婚儀に前向きである。
皆も良く聞け、魔王サタナスの名において、我が妹クラルとヨシノブとの婚儀を認める。
異議ある者は前に出よ!」
サタナスの言葉に何人か前に出ると思ったのだが、予想に反して誰も前に出てこない。
「あれ?誰も異議無いの?」
「我々魔族とヨシノブ様との縁が結ばれる事を歓迎致します。」
「でも、前は不満そうな人もいたよね?」
「以前はヨシノブ様のおチカラを知らなかったのです、天使の軍勢を唐揚げに変えるような方と敵対する愚は犯せません。」
「天使の唐揚げ・・・
あれをやったのは俺じゃ無くて!」
「ヨシノブ様が手を下さなくとも出来ると言う事が戦力を現すのです。」
クラルはその都度、ヨシノブ達の戦歴を魔族に伝えていた、その為今更ヨシノブと戦うことが魔族の滅亡に繋がると理解していた、その上ヨシノブ傘下の子供が武闘会を総なめした上、自身より強いものが溢れていると話しているのだ、その底知れぬ戦力に震えるのであった。
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