第1311話 パレード

俺の馬車を案内するようにバルバは馬に乗り先頭を進む、町の歓声からバルバの人気の高さが伺えた。

「凄い人気だね。」

「魔族は強い者に敬意を払いますから、武闘会で優勝を重ねているバルバくんの事は姉様も褒めてましたよ。」

俺の隣で座るクラルが説明してくれる。

「それでこの歓声か・・・」

俺は改めて周囲を見るがバルバの名前を呼び、手を振る者が多い。


するとバルバは馬を止める。

「今日、此処におとうさん・・・

ヨシノブ様が降臨なされた。

誉れ高いことである!

今日という日に立ち会えた幸運を喜べ!

魔族の新たな歴史に、声をあげろ!!」

バルバの言葉に民衆が反応し歓声と俺の名を呼ぶ声が響き渡る。


「これは!!」

「ふふ、ヨシノブさんの人気も高いんですよ、不倶戴天の敵国アアを討ち滅ぼした事で有名になりましたし、生活も支えてくれています。

男女問わず人気があるんですよ。」

「これは照れくさいね。」

「さあ手を振ってください。」

俺はクラルに促されるように手を振ると・・・


「クラル様、ヨシノブ様、御結婚おめでとうございます!!」

別の声が聞こえる・・・

「あれ、なんでその事が?これからその挨拶に向かう予定なのに?」

「あはは・・・

実は私がヨシノブさんの所に滞在している事でいつの間にか結婚していることになっていまして・・・」

「いやいや、噂だけで流石にここまで浸透しないでしょ!!」

「・・・否定したくなかったので、そのまま放置というか、にこやかに笑っていたらそのまま既成事実みたいになっちゃったというか・・・」

クラルは少し申し訳なさそうに苦笑いするがその後ろでファイはクスクス笑っている。


「ファイ知っているなら訂正しておけよ。」

「事実になったから問題無し。

そうだクラル様、手を振りながらお腹をさすってみてください。」

「こうですか?」

クラルはファイを疑う事無くお腹をさするのだが・・・


「おい、あの仕草、もしかして・・・」

住民達にざわつきが生まれたあと・・・

「御懐妊おめでとうございます!!」

「これで魔族のミライも安泰だ!!」

新たな誤解が生まれる。


「おい、ファイどうするんだよ!!」

「大丈夫です!」

「何が大丈夫だ!」

「事実にすればいいだけです、今回の訪問はサリナさんは同行しないでくれましたので記念すべき今日に頑張りましょう!!」

ファイの言葉に、クラルは想像したのか真っ赤になりながら、俺の裾をキュッと掴み・・・


「ふつつか者ですが、どうか今晩もよろしくお願いいたします・・・

だんなさま。」

恥ずかしそうに爆弾な言葉を吐くのであった。

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