第1310話 魔族の子供達
「イアソン、この馬車は?」
「魔族達がおとうさんの訪問を歓迎しているのです、おとうさんの姿をお見せしてから城を訪問するのが良いかと。」
「そこまで魔族と関係が良かったかな?」
「現在、魔族領ではおとうさんがもたらした化粧品をはじめ、多くの食料品、嗜好品、そして剣に至るまで今や魔族に欠かせない物になっております、それに加え魔族の武闘会を優勝を重ねている弟バルバがおとうさんの良さを語り、信奉者を増やしております。」
「バルバ・・・ってアキラさんの修行に来ていた子か!」
バルバの名前に聞き覚えがあった、アキラの修行を行っている際に積極的に指導を求めている魔族の子供だったのだが、いつの間にか魔族の武闘会で優勝するようになっていたとは知らなかった。
「その通りです、おとうさんバルバも控えておりますのでどうか一声お声がけしてもらってもよろしいですか?」
「もちろんだよ、バルバ、こっちに来なさい。」
「バルバ、おとうさんの前に罷り越しました。」
「そんなに堅苦しい事は無しだよ、俺達は親子なんだからな。
バルバ強くなっていたんだね。
優勝おめでとう、ごめんよ、大会に出ているって知ってたら応援に来たのに。」
「いえ、おとうさんに見てもらう程の大会ではありませんので。」
「何を言ってるんだい、バルバが頑張っている姿を見たかったんだよ。
今度、大会に出るときは教えてくれるかな?
みんなで応援に来るからさ。」
「ありがとうございます。」
俺の言葉にバルバも涙を浮かべている、どうやら魔族の子供達は涙腺が弱いようだ、他の子供達も俺とバルバの様子を見て薄っすらと涙を浮かべている。
「みんなもいつでも声をかけてくれていいからね、俺はいつでも待ってるから。」
俺は一人ずつその場にいる子供達の頭を撫でていく。
「うにゅ、魔族の武闘会で優勝したら褒めてもらえるのよ?
それならシモも大会に出たいのよ。」
「シモも今度出るのかい?」
「おとうさんの応援があるならシモは優勝目指して全力全開なのよ。」
シモはやる気になっているようだが実際今のシモが大会に参加すると相手になる者はいないだろう。
「シモが強い事はわかっているからね、魔族の武闘会は魔族の子供達に譲ってあげようか?」
「うにゅ、おとうさんに言われたら仕方無いのよ。
でもバルバは負けちゃ駄目なのよ、おとうさんの子供として恥ずかしくない戦歴を残す必要があるのよ。」
「もちろんです!また訓練の際は御教授お願いします。」
「うにゅ、いつでも教えるのよ。」
シモは後輩にあたるバルバに胸を張って答えるのであった。
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