第1306話 見学
「ヨシノブはいるか?」
「御父君は今修行に出てて不在だぁ。」
マックスが屋敷を訪ねるのだがヨシノブは不在であった。
「修行に出ている?
珍しい事もあるものだ、しかし、それだとどうしたものか・・・」
「マックスどんは御父君にどんな用事だぁ?」
「青鬼殿、実はカルラさんに我が領内の視察をお願いしようと思っていたんだ。」
「カルラちゃんを視察にか、今は忙しそうだべ。」
「そうなのか?」
「うんだ、歌やダンスのレッスンが大詰めらしいだ。」
「青鬼殿、私が見学する事は出来るのか?」
「わからねぇが聞いでみるべ?」
「お願いしたい。」
「ちょっと待つべさ。」
青鬼は電話をかけ確認する。
「マックスどん、許可が出たべ、ただレッスンはアリアで行っているから向かう必要があるべきな、大丈夫か?」
「大丈夫だ、アリアには何度も行っている、それより急ごう、カルラさんが私を待っているはずだ。」
「待っているかどうかはわからねぇべさ。」
「いや、待っているはずだ!」
マックスは勝手知ったるなんとやら、迷うこと無くアリアへの旅の扉に向かう。
「マックス、言っておくけど練習の邪魔はするなよ。」
「大丈夫だ、オットーくん、私が邪魔をすると思うか?」
「マックスならしそうだから言ってるんだよ。」
オットーは案内しつつもマックスに注意を促していた。
「ここでレッスンをしている、いいか邪魔をしないように大きな声は出すなよ。」
「わかった。」
「じゃあ開けるからな。」
オットーが扉を開けると中にはカルラとリミ、ローラ、ポメの四人がアメノウズメから指導を受けている姿があった。
「カルラちゃんはもっとみんなと動きを合わせて。
リミは手のフリが小さい、胸を張って大きく見せることを意識する。
ローラは良い感じよ、ただ止めるポイントをもっと確実に止めたほうがいいわね。
ポメちゃん、楽しいのはわかるけど振り付けが雑になってるわ、ちゃんとした振り付けを踊ってもらえるかしら?」
「「「「はい!」」」」
「いい返事ね、じゃあ頭からいくからね。」
アメノウズメの指導の下、真剣にダンスに取組むカルラ達の姿にマックスは圧倒されていた。
「オットーくん、これ程までに真剣にレッスンをしていたのか?」
「そりゃおかあさんと一緒のステージで歌ったり踊ったりするからな、より良いステージを目指すのは当然だろ?」
「して、そのサリナさんは何処に?」
「おかあさんは別で歌のレッスン中だ、おかあさんがメインで歌うパートが多いから体力作りから色々大変なんだ。」
「なんと、それほどまでに本気でやっているのだな。」
「そりゃ他の神様も見ているからね、下手な物は見せれないと頑張っているよ。」
「なるほど、カルラさんがここまで頑張っているのだ、私もライブまでにもうひと頑張りせねば合わせる顔が無いということだな。」
マックスはサッと踵を返し、マインズ王国に戻ろうとする。
「もう見学はいいのか?」
「大丈夫だ、カルラさんの頑張りを見たら自分がまだまだだということがわかった、今一度国元で一仕事してこよう。」
マックスは言うが早いか足早に帰っていくのであった。
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