第1303話 真実の国
真実の口の運用はこれまで犯罪行為に手を出していた者達を震えあがらせる。
「貴様、これ以上嘘をつくなら真実の口に放り込むぞ!」
「う、うそなんて言っていない!」
「ならば胴体を入れても問題無いだろう、歯軋りの恐ろしさを身を持って味わうか?」
「は、歯軋りだと・・・」
真実の口の歯軋りはゆっくり口を閉じながらグリグリと横に動きながら閉まる為、一瞬で死ねる通常より痛みがある上、助かる事の無い最大の苦痛として有名になっていた、しかも口が完全に閉じるまで真実の口の効果によって命を落とす事は無いのである、あまりの激痛に許しを請う者しかいないと評判であった。
「ま、まて、歯軋りを、真実の口を使う必要なんてないじゃ無いか。」
「大丈夫だ、真実なら口が閉じることは無い、お前も長々取調べを受けるのも嫌だろう、一瞬でお前の無実が確定される、迅速な結果になるだろう。」
「ま、まってください、私がやりました、死刑になるほどの罪じゃないんです、お願いします、真実の口は勘弁してください。」
真実の口を前にしては嘘は良くて五体を、むしろ命を失う可能性がある、多くの犯罪者達にとって恐怖の代名詞になるまでに時間がかからなかった。
「そうか、ならば脱税の罪を認めるのだな。」
「・・・はい。」
「それで他に隠している分はあるのか?」
「えっ、それはその・・・」
「真実の口で話そうか?」
「あります!ありますから!どうか真実の口だけは勘弁してください!」
自白が相次ぎ、迅速な解決が相次ぐ事になる。
「脱税、汚職、脅迫、よくもまあこれ程の事が裁かれずにいたものだ。」
ルーズのもとに上がってくる報告の量に頭が痛くなるのだ。
「しかし、これもここまででしょう、今後不法行為を隠す事は出来なくなります。」
「真実しか話せないというのは恐ろしい物だ、管理運用についてはしっかりとするように心がけよ。」
「はっ、裁判長、もしくは騎士団長の承認がいるようにしており、それ以外の者が軽い気持ちで使えないようにしております。」
「ならばよい、まったく持ってマックスの考えは我々の上を行くな。」
「誠に軍務のみならず内務の才まで発揮されては我々大臣の立場が無いというものです。」
「なに、我々はマックスの天才的才を認めることが一番の大事である、変に嫉妬などして足を引っ張るようでは世界の変化の早さにおいていかれてしまうぞ。」
「しかと心得ております、英雄マックス殿に追いつけぬ事は致し方無いですが、無駄に反抗して愚者として歴史に名を刻むのは避けたいですから。」
「そうだな、我が国にマックスがいた事を誇らねばなるまい。」
軍を率いれば古今無双、裁判長になれば公明正大、国の為に滅私奉公する姿は歴史に類のない英雄である。
ルーズのみならずマインズ王国でマックスの名声は揺らぐことの無い物となっていたのだった。
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