第1300話 お気楽なヨシノブだったが
時は少し戻る。
マックスに訓練を押し付けた俺は安易に構えていた。
「ヨシノブ、明日訓練だっていうのに気楽そうだな?」
「あっ、わかる〜」
「何を企んでいる・・・」
「たいした事は無いよ、一つ言えるのは犠牲者を捧げるだけた。」
「全部言ってるじゃねえか、てめぇまた俺を犠牲に逃げるつもりだな!」
「お前を犠牲にしても俺に押し付けてくるだろ、今回は違うんだなぁ〜」
「誰を犠牲にしてんだよ。」
「マックス♪」
「マックスか、たしかに奴なら耐久性に問題無いな。」
「だろ?ちょっとした取引と引換えに安寧を得る、両者WIN WINだな。」
「ちょっとした取引って何と引き換えたんだ?」
「なんか真実しか話せない部屋が必要らしくてね、俺が神威を使ってそれを作れば、訓練回避に協力してもらえるんだ。」
「何気に人に出来ない事と引き換えだな。」
「訓練の相手も人に出来ない事だからな、これぞ等価交換の原理に従って・・・」
「ほぅ・・・
面白い取引をしたのじゃな。」
俺とリョウが話している部屋にいつの間にかアキラが現れていた。
「アキラさん!なんでここに!!」
「ハルくんがお主を探していたから呼びに来てみれば・・・
お主にはキツい訓練が必要なようじゃ。」
「ま、まって!俺は神威を使うから刀の修行はほどほどでいいと思うんだ!」
「日本男児なら刀に生き刀に死すべし、その程度も知らんのか?」
「それは桐谷家の家訓のはず、さあリョウ家訓を全うするんだ!」
「てめぇ・・・
ハルくんのパパならじいちゃんの息子同然だろ?もはや桐谷家と言ってもいいんじゃないか?」
「全然違う!
うちは桐谷家みたいな脳筋じゃない。」
「何を言ってる、お前の家の子達は喜んで訓練してるじゃないか。」
リョウが指摘する通り、我が家の子達は率先して訓練を行っている、アキラの訓練はレベルが高い為に参加者こそ選ぶがそれを目標に頑張る子達もいる。
「うちの子達は桐谷家とは関係なく自己研鑽しているだけで・・・」
「なら、その父親も自己研鑽に励まないとな。」
リョウはニヤリと笑い俺の肩を叩く。
「てめぇ!!
あっ、そうだ、明日はマックスに頼まれた仕事があるんだ、いやぁ忘れてたなぁ。」
「白々しいことを、後日にしろ後日に!」
「いやいや、罪なき人を救う為に一日でも早い事が大事だろ。」
「なら今すぐやれよ!どうせ暇なんだろ。」
「暇じゃねぇよ!」
「二人とも静かにしろ。
まったくお前達はいつも訓練から逃げる事ばかり考えおって・・・」
「じいちゃん、今回は俺は考えてない!」
「死なばもろとも!逃がすか!」
アキラが明らかに不機嫌である俺はリョウを捕まえる。
「てめぇ、離せよ!」
「離すかよ、親友。
共に逝こうぜ。」
「一人で逝け!」
俺とリョウがやり合う中・・・
アキラがヘルマンと何やら相談をしている。
「アキラさん、なにを?」
「なに、お前の仕事とやらを他の者が出来るか確認しておったのじゃ。」
「な、なんでそんな確認がいるかな?
俺の仕事はちゃんと俺がするから大丈夫・・・」
「お主とリョウは少々鍛える必要がある。
イゾウ、やれ。」
「二人とも悪いな。」
「「悪いと思うならやらないで!!」」
俺とリョウの言葉は虚しく強制転移となるのであった。
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