第1289話 フーフあらたてナタシャ

「あ、あのですね、ヨシノブさん、少しお話がありまして・・・」

フーフが身を正して話しかけてくる。

普段からだらしない姿を見ている俺としてはめずらしいなという気持ちであった。


「フーフさん、どうしました?」

「え、えーと、私の事はナタシャと呼んでもらえますか?」

「ナタシャさんですか?ですがフーフという名前があるのでは?」

「あれは役職名なので、もう退職しますからナタシャでお願いします。」

「いいですけど、退職ですか?」

「はい、さっきメールで送っておきました!」

「メールで送る内容かどうかはおいておくとして、今後どうなさるのですか?」

「ヨシノブさんの所で雇ってもらえませんか?」

「ミルフィさんの友人ですから雇うのは良いですけど、元の世界はいいんですか?」

「いいんです!」

ナタシャはハッキリと応える。


「そうですか、まあナタシャさんは子供達とも仲良くしてくれてますし、今後もよろしくお願いします。」

「任せてください!」

フーフあらため、ナタシャを雇う事になる。


「ミルフィ、転職成功したわ!」

「転職というとナタシャと呼んだほうがいいわね、おめでとうでいいのかな?」

「おめでとうでいいわ!これで首の皮がつながったわ!」

「あはは・・・それって物理的な意味かな?」

「両方よ!あのまま所属していたらヨシノブさんの敵として排除されかねないし、世界が無くなれば無職じゃない。」

「そうよね、アマテラス様の方針に従って支配域を増やしているみたいだけど、これって侵略だよね。」

「えっ、もう進めてるの?」

「ナタシャは知らなかったの?カルラちゃん達が信仰心を集めて従来の信仰心を塗り替えていってるのよ、たぶんだけど収入は私のいた時の半分ぐらいになってるんじゃないかな?」

「もうそんな事になってたの!

ミルフィも教えてくれてもいいじゃない。」

「友達でも仕事の内容は言えないよ、それに此処にいるなら殺される事は無かっただろうし、転職の話が出たら推薦するつもりだったんだよ。」

「ミルフィの友人だから採用してくれたみたいだし、それは感謝するけど・・・

ねぇ、本当にヨシノブさんと関係持ってないの?」

「ちょ、ちょっと!いきなりなんの話よ!」

「だって敵対した世界からの転職だよ、普通無理じゃない?

それをミルフィの友人ということで受け入れてくれるんだから、ヨシノブさんとの関係は強いのかなって?」

「ヨシノブさんは今やアマテラス様の御子息ですし、私とは身分が違うというか・・・」

「あら?身分というなら正妻のサリナさんは人からの昇神よ、あなたの方が血統はいいじゃない?」

「ナタシャ、その考えは危険よ、ここではヨシノブさんとサリナさんが一番よ。」

「わかってるわよ、血統の話なだけよ。

サリナさんを蔑ろにする訳無いじゃない。

でもね、ミルフィの扱いもサリナさんに負けてないと思うんだけどな。」

ナタシャの言葉は真理をとらえているのだがミルフィはまだ気付いていないのだった。

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