第694話 相談マックス
「そりゃいけねぇよ、マックスさん。」
マックスの相談に乗っているのは門番の仕事が終わった青鬼だった。
「だめか?騎士団長を止めて護衛になるだけだが?」
「あーそれも駄目だが、タイミングが悪いべ。」
「タイミング?」
「今日はハルノブ様が倒れた日だべ、カルラちゃんを含めてみんなハルノブ様が心配なのに、自分の話をしちゃ、印象が悪いべさ。」
「な、なんと、カルラさんの印象が悪くなると!」
「冷たい人と思われてしまったかもしれねぇべ。」
「いやいや、私にそんな気はなく・・・」
「気がなくても結果だべ。」
マックスから冷や汗が流れる、どれほどの戦場でもこれ程の危機を感じたことは無かった。
「青鬼殿!如何にすればいいと思う!」
「んだなぁ、一度失った物を取りもどすのは難しいというべが、ここはカルラちゃんだけでなく、御父君様、御母堂様や、ハルノブ様にも誠実にするのはどうべ?」
「ヨシノブやハルノブくんにか?」
「んだ、カルラちゃんが大事にしている人に誠実にすれば、カルラちゃんは喜ぶと思うだ。」
「ふむ、一理あるな、優しいカルラさんだ、きっと喜んでくれるな!」
マックスは青鬼の意見に納得したのか再度ヨシノブの元に向かっていった。
「まあ、アナベルさんは既にやってることべなぁ・・・」
青鬼の最後の言葉をマックスは聞いていなかった。
「ヨシノブ!!」
「マックスまだいたのか?そろそろ帰れよ。」
「いや、そんな事より何かしてほしい事は無いか!」
「じゃあ、静かにしてくれ、ハルノブが起きる・・・
あーあ。」
マックスの声に反応したようにハルノブの泣き声が響く。
その瞬間、子供達の冷たい視線がマックスに向く、当然ながらカルラも冷たい視線を送っていた。
「い、いや、俺はそんなつもりは無くて・・・」
「まあいいから、一先ず落ち着け、サリナ、ハルノブを任せていいかな?」
「わかりました、はい、ハルノブ起きたの?」
サリナは起きたハルノブをダッコしてあやし始める。
俺はサリナにハルノブを任せて、マックスを連れて別室に向かった。
「マックス、何してるんだよ、寝てる子供を起こすなよ。」
「俺はそんなつもりは無くて・・・」
「まあ、それで何の話だったんだ?」
「いや、お前やサリナさん、ハルノブくんと仲良くなろうと思ってだな。」
「逆効果だねぇ〜」
「あっさり言うな!」
「まぁ、下心もわからんでも無い。
でも、さっきのはまずいだろ、今日はカルラも含めて子供達はいつもよりハルノブを気遣っているのに、泣かしたらねぇ・・・」
俺はマックスの気持ちをわかりつつも、タイミングの悪さに呆れてしまう。
「ヨシノブ!どうすればいい!!」
「今日は帰れ、一応俺の方からなだめておくから、あとはハルノブに謝って嫌われないようにすればなんとかなるかも?」
「ふむ、ハルノブくんに気に入られたらいいのだな。」
「いや、そんなに単純な事じゃないぞ、赤ちゃんは自分に正直だからな、嫌なら嫌と態度で示すからな。」
「任せておけ、絶対に気に入られてみせる!」
マックスはそのまま帰宅したが不安しか残していなかった。
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