第693話 駆けつける

ハルノブが倒れたという話はルーズの所に来ていた俺にもすぐに連絡が入った。

「ルーズさん、すみません息子が倒れたみたいです、屋敷に帰りたいと思います。」

「なんと!それはいけないなヨシノブ早く屋敷に帰るのだ。」

ルーズも即座に帰るように言ってくれたので、俺はそのまま帰宅する。


「ハルノブは大丈夫か!」

屋敷に帰るとハルノブは健やかに寝息をたてていた。

「ヨシノブさん、ハルノブは大丈夫ですよ。

ファイさんが見てくれたところ、魔力を一気に使ったせいで眠くなっただけとのことでした。」

「ファイ、大丈夫なんだよな?」

サリナから説明を聞いたあと、俺はハルノブのホッペタをつついているファイに近寄り、確認する。


「大丈夫ですよ〜ちょっと疲れて寝ているだけですから、ほら元気そうですよ。」

ファイがつついているハルノブを見ると血色はいいし、問題なさそうに見える。

「よかった、倒れたと聞いたから気が気じゃなかったよ。」

俺は一安心する。


「自我が目覚める前に魔力を使い過ぎる事は魔族の子供にはよくあるんですけど、ここの子供達は後天的に魔力を手に入れたから知らなかっただけですね。」

ファイが何事も無いかのよう伝えてくるので、俺だけでなく屋敷にいるすべての人が安心していた。


「ヨシノブ、子供が倒れたと聞いたが・・・ふむ、寝ているだけじゃないか?」

「マックス、屋敷に来ていたのか?」

「ああ、カルラさんに会いに来ていたのだが、気がつくとアナベルと稽古をしておったわ。」

「何をどうすればそうなるか、わからないけど元気そうだな。」

「俺には譲れぬものがあるのだ、そうだヨシノブ、俺をカルラさんの警護に雇ってくれ。」

「断る、何が悲しくて友好国の騎士団長を引き抜きしなきゃならない、関係悪化などお断りだ。」

マックスの馬鹿な発言を一蹴する。


「いや、俺もそろそろ第一線から退き、一伯爵として活動すべきだと思ってな。」

「一伯爵が警護したりしません、どちらかというと警護される側だろ?」

「そんなのはどうでもいい、ようはカルラさんの傍にいる時間をもっと作りたい。」

「はぁ、まあその話はルーズさんにしてからにしてくれ、今日する話ではないな。」

当然ながら俺はマックスの恋路より、ハルノブの心配の方が大きかった。


「マックス様、少しどいてください。

おとうさん、ハルくんに会ってもいい?」

カルラはヨシノブに話しかけているマックスを邪魔者のように扱う。

「カルラさん・・・」

邪魔者扱いされたマックスは真っ青になっている。


「いいよ、でも寝てるから静かにね。」

俺は固まるマックスを置いて入室許可を出す。

カルラを含めて子供達は部屋に入り、ハルノブの寝姿を見て一安心する。


入口で固まるマックスを置いて・・・

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